上写真=小林悠は直近の柏戦でゴールを決めて、貪欲な姿勢を形にした(写真◎J.LEAGUE)
「彼が決めると自分も頑張らなきゃと」
2017年以降、北海道コンサドーレ札幌との対戦では、出場した10試合すべてでゴールを決めていて、集めた得点は計12。もちろん、8勝2分けと負けなしだ。前回対戦では目の覚めるようなバイシクルショットで同点に追いつき、続けて逆転弾も決めた。小林悠が「札幌キラー」と呼ばれるゆえんだ。
「たまたまですよ」と笑い飛ばすのだが、その不思議な相性の良さで今回も快勝といきたい。川崎フロンターレはここ2試合続けて、追いつかれてのドロー。首位をゆく横浜F・マリノスと勝ち点5差で残り5試合にすべてをかける。次の試合の相手が、その札幌だ。
「意識はしないけれど、周りがそう言ってくれるので、いいイメージというか、また決めることができるんじゃないかなといういい感覚はあって、そのまま持っていけばいいと思います」
残り全勝のためには、何でも利用すればいい。
直近の9月17日の柏レイソル戦では自ら今季3点目を決めて先制しているが、追いつかれて勝ちきれなかった。試合後、物足りなったのが「何も考えずに、動いて受けて落として、という距離感」だと振り返っていた。その向上のために、試合のない2週間を利用して休息、トレーニングと十分な時間を充ててきた。
「まずは、シャドーの選手とどれだけ話せるかですね。練習で自分の動きを見てほしいときに言ったり、3人目の動きを入れるときに先に動き出してほしいとか、細かいところで話す時間はありました。もちろん、何も考えずに動けるようになるには長い時間で成功体験を積み重ねないとそう簡単にはできないけれど、話し合いをしていいプレーを積み重ねて、近づけるように取り組んでいます」
相手の札幌には、以前「憧れ」と話していた興梠慎三がいる。前回対戦では先発した興梠が58分にピッチをあとにして、同じタイミングで小林が入ったから、すれ違いになった。
「参考にしたいプレーヤーですよね。日本人であれだけゴールを積み重ねているし、大学生の頃から参考にしてきました。プロになってからも試合で会うと優しく話しかけてくれて、僕をリスペクトしてくれています。彼が決めると自分も頑張らなきゃと思うし、いまの若い選手や子どもたちは、慎三くんの動きを見るべきです。動き出しだけではなくて、体の使い方もハイレベルですから」
興梠のJ1通算161ゴールは、元日本代表の佐藤寿人さんに並ぶ歴代2位タイだ。小林も133ゴールで8位だから相当なもの。2人合わせて294ゴールというベテランストライカー同士の競演が実現すれば、ともに仕掛けるはずの攻撃サッカーを、さらに華やかなものにするだろう。