川崎フロンターレの家長昭博は、やはりただ者ではない。9月10日の明治安田生命J1リーグ第29節、サンフレッチェ広島を4-0の大差で制した上位決戦で、2ゴールを決めて立役者になった。しかも、それだけではない。独特の存在感が若手を生き生きとさせている。

上写真=家長昭博が笑顔笑顔。2ゴールをはじめ圧巻のパフォーマンスだった(写真◎J.LEAGUE)

■2022年9月10日 J1リーグ第29節(等々力/20,873人)
川崎F 4-0 広島
得点者:(川)家長昭博2、脇坂泰斗、知念慶

「彼を讃えたい」

 78分に自身の2点目、チームの勝利を決定づける4-0となるゴールを決めると、家長昭博がおどけたポーズで喜びを表した。

 クールな家長が、おどける?

「皆さんが僕のことを知らないだけですよ」

 そんな一面もあるのだと教えてくれた表情もまた一層クールだった。

 J1、ルヴァンカップ、天皇杯と公式戦8連勝中の2位サンフレッチェ広島と、勝ち点差1で追う3位川崎フロンターレの対戦だから、激しく拮抗した戦いも予想されたが、終わってみれば前半途中から川崎Fのほぼワンサイドゲーム。その展開を決定的にしたのが、家長の先制点だ。

 34分、左からの脇坂泰斗のパスをマルシーニョがワンタッチで裏に滑り込ませ、佐々木旭のマイナスの折り返しに左足でゴール右へと蹴り込んだ。広島のハイプレッシャーを自慢のパスワークでかわし続けてぐっと押し返した流れを、ゴールという形に結実させたことの意味は大きい。

 そして、それだけではない。

「旭がサイドを突破してくれて、目が合ったんだけど、いいボールをくれました」

 左サイドバックのポジションをつかんできたルーキーは、不調に陥って7月9日のガンバ大阪戦以来、出場がなかった。その佐々木が鮮やかなコンビネーションから左を破って、冷静に絶好のボールを送ってくれた。決めないわけにはいかない。

「旭は久々の試合でプレッシャーもあったと思うけれど、頼もしかったですね。彼が悔しい時間を過ごしていたのをずっと見ていました。何か声をかけることはなかったけれど、普段の練習でマークにつかれることが多くて、それで下を向くことなく続けていたのはわかっていました。チームとして力になったし、今日は得点を決めた自分よりもよかった。彼を讃えたいし、皆さんも讃えてほしいと思います」

 日本で最高級の技術とキープ力を持つ家長に食らいつくことで、佐々木は毎日が成長の時間だった。守備の安定感は高まり、攻めても「試合に出ていない期間、左足のクロスはずっと練習していました」と、あのアシストに結びついた。努力は報われる。


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