上写真=湘南戦では谷口彰悟のヘディングシュートが知念慶に当たって入り、2試合連続ゴールに。「運です」と笑った(写真◎J.LEAGUE)
「むやみに打つよりも質を高めなければ」
サッカーではデータがすべてではないが、知念慶はここ2試合でいくつかのベーシックな数値を高めている。
8月31日のJ1第20節サガン鳥栖戦と9月3日の第28節湘南ベルマーレ戦で連続で先発し、シュートは4本と5本でともにチームトップ。走行距離は鳥栖戦が出場74分で8.739km(90分換算で約10.6km相当)、スプリントは19回(同じく約23回相当)、湘南戦はフル出場して10.497kmと21回で、いずれもチームトップクラスだ。
もちろん、長い時間プレーしたから当然ではあるのだが、その効果について、湘南戦前の会見で鬼木達監督はこう話している。
「チャンスの最初の起点を作っているのは知念で、守備で追いかけ回して推進力も与えてくれました」
レアンドロ・ダミアンが8月20日のアビスパ福岡戦で負傷して、右足関節外側靱帯損傷、右腓骨筋肉離れで全治までおよそ10週間の見込みと発表された。かかる期待は大きいが、知念は知念である。
「鬼木さんは前線からの守備を求める監督で、それが自分の強みだと思っています。体を張って前線の守備で周りを助けたりゴール前で強引にシュートを打ったり。そうやって体を張っていく強みを見せていきたい」
無骨なまでのファイティングスピリットが、相手の守備陣を困らせる。試合から遠ざかっていた時期には、スタンドから試合を見て「自分が入ったら前線で起点を作って、五分五分のボールをマイボールにして、チームでボールを持てる時間を長くしたい」とイメージをふくらませてきた。それを、今季初の2試合連続先発で、体いっぱいに表現した。
シュートへのがむしゃらさも、戦う姿勢のもう一つの表現だ。
「シュートを打つ意識は今シーズン、だいぶ取り組んでいるところです。でも、まだ質を伴っていません。むやみに打つよりも質を高めなければならないけれど、シュートへの意識は去年やその前に比べるとだいぶ高くなっています」
9月6日に公開されたトレーニングでも、ゲーム形式で迷いなくゴールに蹴り込むシーンは一度や二度ではなかった。
「鳥栖戦で多少は自信をつかんでから、練習でも試合でも、いい感覚でいいコンディションでできているので、自信を持って入れると思います」
みなぎる気力とシュートへの好感触をぶつける相手は、2位のサンフレッチェ広島。屈強の3バックを前に、攻略の糸口はつかんでいる。
「僕自身が一発で裏抜けするというよりは、一度起点になってからマルシーニョやアキさん(家長昭博)をうまく使う感じの攻撃を、練習でもやってみて効くのではないかと思っていて、イメージができています」
3試合連続ゴールでライバルをたたきたい。