上写真=仲間とたくさん話して理解する。大島僚太が心がけることだ(写真◎J.LEAGUE)
「勝ち続けることで引き寄せられる」
みんな、大島僚太が好きなのだ。
7月に右ハムストリングの肉離れで戦列を離れていたが、ようやく8月27日の鹿島アントラーズ戦で帰ってきた。登場すると、スタジアムからは万雷の拍手。敵将の岩政大樹監督でさえ、交代を待つ大島に自ら近寄って握手を求めたほどだ。
「声援に制限がある中でしたけど、あの拍手の中でホームでプレーできることにしびれるものがありました」
でも、大島僚太の足は痛いのだ。
影響は、今回の負傷よりも、3月に負った右足関節靭帯損傷、右近位脛腓靭帯損傷というケガのほうが大きいという。「寝ても覚めても、というか、朝起きたら3月にケガをした部分の痛みを確認することから始まっている」と、祈るような気持ちで目覚めを迎える毎日だという。
それでもやはり、サッカーがしたい。口では引退をほのめかすようなことをこぼしてもみるが、「思い切りサッカーがしたいので、その思いが一番ですし、たくさんサッカーがしたい思いで粘っている感じです」と笑う。
「痛みを含めて長く時間がかかっていますけど、うまく付き合いながら、それが消えなくてもプレーできるのであればうれしいので、自分のやりたいプレーよりピッチに立つことを望んでやっていきたいと思っています」
大島にとっては、ボールと痛みが友だちだ。緑の芝生の上に飛び出していく喜びを、何度でも自然に求めてしまう。
鹿島戦では72分からの登場で、2-1と1点差にした相手が攻撃に猛烈なパワーを仕掛けていた時間帯。それを読みと技術で減圧していく役割だった。残りが11試合というタイミングでの復帰は、逆転優勝を狙うチームにとって最大の「補強」と言っていいかもしれない。
「ここからはまずは、自分がもうチームを離れないように努めることと、いろんな選手と会話してチームがより迷いなくアグレッシブなサッカーをできるようにコミュニケーションを取って、みんなと最後に笑って終われるようにしたい」
そのためには、勝つだけだ。
「結果的には他力本願ですけど、僕たちが勝ち続けることで引き寄せられることもあると思います。強い思い、絶対に勝つ、勝ち続ける思いを持ち続けていくことが一番です」
何度でもケガから立ち直ってきた大島の強い意志と、逆転優勝で3連覇を達成したいというチームの本気が重なる。再び背番号10を得た王者のラストスパートが楽しみだ。