首位の横浜F・マリノスを逆転へ、残り11試合。4位の川崎フロンターレの前に次に立ちはだかるのが、勝ち点1差で3位の鹿島アントラーズである。試合数にばらつきがあって暫定順位だが、引き分け以上でひっくり返せる。鬼木達監督は「鹿島は鹿島」と深く警戒する。

上写真=鬼木達監督はもちろん残り11試合に全勝するつもりだ(写真◎J.LEAGUE)

「13試合連続負けなし」は優位か否か

「これから全部、ビッグマッチになっていきます」

 川崎フロンターレの鬼木達監督は、残り11試合のラストスパートに向けて引き締まった表情で質問に答える。3連覇へ自力優勝はなく、「一つずつ勝ち続けることしか優勝の目はない」と勝ち点3を積み重ねて首位の横浜F・マリノスを追いかけるほかない。

 これから全部、という冒頭の言葉は本音だろうが、それでもやはり鹿島アントラーズが相手となると警戒心が上がる。鬼木監督の古巣でもあるからこそ、その伝統を身にしみてわかっているし、岩政大樹監督が就任したばかりで独特の勢いも感じている。

「鹿島は鹿島である、ということです。だから、自分たちがどれだけ気持ちを込めて戦えるか、ですよね。ここから3連戦になるので、しっかりと全員で力を込めて一戦一戦戦う、その最初の入りのところなのでしっかり戦いたい」

 データは当てになるときとならないときがあるが、これはどうだろう。川崎Fに優位な数字がある。

 川崎Fにとって鹿島戦は、

 ・3連勝中(2021年第17節から)

 ・13試合連続負けなし(2016年1stステージ第5節から/9勝4分0敗)

 ・ホームゲーム2連勝中(2020年第2節から)

 ・ホームゲーム6試合連続負けなし(2016年1stステージ第5節から/4勝2分0敗)

 なのである。

「相性がいいと思ったことはないし、いつも苦しい戦いの中で勝ちを拾ったり、という状況だと思っています」

 鬼木監督は過去の結果は意にも介さず、逆に相性が良くない相手のほうが、より強く意識してしまうものなのかもしれない。ただもちろん、勝っていることで得た自信は確かにある。

「常に難しい戦いになると思っています。そして、難しいということを全員がわかっている、ということによって、もしかしたらやるべきことが研ぎ澄まされていくのかもしれないですね。だから、メンタル的なところが大事なのかなと」

 鹿島が厳しい戦いを仕掛けてくれるからこそ、鋭敏になっていく。

「鹿島と戦うときには、最初から相手と同じ気持ちでスタートラインにしっかり立つというところが大事です。それで初めて力が発揮されるんです。一歩でも引いたら、自分たちのゲームに持ってくることはできません」

 これだけ聞くと精神論に思えるが、その前に全員で共有していることがある。これは、フットボールである、ということだ。

「サッカーそのものに対して、どう臨むか。見てくれる方が喜んでもらえる熱いゲームをする。そこがパワーでもあります」

 だから鹿島戦は、フットボールをして強く勝つ。


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