8月18日にノックアウトステージが始まったAFCチャンピオンズリーグ。25日には東地区の「決勝」となる準決勝が行われた。韓国の全北現代と日本の浦和レッズという日韓対決は、延長戦でも決着がつかず、最後は浦和がPK戦を制して勝利。東地区ナンバーワンの座を手に入れた。決勝は2023年2月19日と26日に西地区のホーム、東地区のホームの順で開催される予定。

上写真=サポーターとともに勝利を分かち合う。浦和が東アジアを制した!(写真◎AFC)

■2022年8月25日 ACL準決勝(埼玉/23,277人)
全北現代(韓国)2-2〈延長〉PK1-3 浦和(日本)
得点者:(全)ペク・スンホ、オウンゴール
    (浦)松尾佑介、キャスパー・ユンカー

画像: ■2022年8月25日 ACL準決勝(埼玉/23,277人) 全北現代(韓国)2-2〈延長〉PK1-3 浦和(日本) 得点者:(全)ペク・スンホ、オウンゴール (浦)松尾佑介、キャスパー・ユンカー

「PK戦は楽しめました」

 何という激闘。制したのは、浦和レッズだ。

 11分に幸先よく先制しながら、後半に押し返されて55分に同点に追いつかれる。延長戦にまでもつれ込み、その後半、116分についに逆転ゴールを食らいながら、あきらめなかった。まさに120分にキャスパー・ユンカーのフィニッシュで追いつき、PK戦へ。ここでGK西川周作が1人目、2人目をストップ、4人目も失敗した全北現代に対して、浦和は1人失敗したものの、3-1でこれを制して、東アジアでナンバーワンの座を手に入れた。

 この長い長い120分とPK戦の中には、たくさんのドラマが詰まっていた。

 先手を取ったのは浦和レッズだ。開始早々の11分、右サイドで素早くダヴィド・モーベルグがスローイン、伊藤敦樹が戻してモーベルグがニアゾーンへ送り込むと、走り込んだ酒井宏樹がセンタリング、松尾佑介が押し込んで、いきなり場内のボルテージが上がった。

 15分過ぎのプレスは圧巻だった。浦和レッズ陣内で回そうとする全北現代のパスの受け手を一つひとつつぶしていき、左から右へ、そして後ろへと下げさせ、気がつけば相手陣内の左奥深くまで追い込んでいって奪いきった。誰ひとりとして遅れることなく、フェアに足下に飛び込んでいく。

 気圧された格好の全北現代はたまらず、34分と早々にマドウ・バロウを投入。準々決勝のヴィッセル神戸戦で1得点1アシストと大活躍した快足アタッカーに、流れを変える役割を託した。すると、38分にはいきなりそのスピードを飛ばして左サイドを駆け抜け、ソン・ミンギュのシュートを導いている。

 その勢いをそのまま持ち越した全北現代が、後半開始から優勢に出る。52分にはバロウが左から強引に中に切り込んで中央へ、受けたソン・ミンギュは足下に入ってきた大畑歩夢に倒されてPKを得て、ペク・スンホが決めて同点に追いついた。

 浦和はなかなかボールを回収できず、奪っても前半のように攻め入ることができなくなった。リカルド・ロドリゲス監督は79分に明本考浩、江坂任、キャスパー・ユンカーを同時に送り込んで、一気に勝負をかける。すると徐々に押し込んでいって、ビッグチャンスの嵐。

 90分に岩波拓也からのロングフィードで右サイドへとユンカーが抜け出し、中に走ったモーベルグに預けてシュート、90+4分には明本の折り返しのこぼれ球に江坂が左足のダイレクトボレーで狙うが、どちらもゴールの上へ。90+5分には江坂がユンカーを左に走らせ、角度がなかったものの強烈に狙うがGKが弾く。これで得たCKから岩波がファーで打つがGKにブロックされ、その直後には明本から引き出した江坂が優しいワンタッチパスで左前のユンカーに渡し、左足を振ったが左ポストを直撃、跳ね返りを江坂がねじ込もうとしたが、またもGKに止められた。いつ決着がついてもおかしくなかったが、これだけチャンスを迎えても、決められなかった。

 延長戦にもつれ込む熱戦は、その後半に最もヒートアップした。116分に全北現代が左CKの流れから、イ・スンギのニアへのシュート性のセンタリングにハン・ギョウォンとアレクサンダー・ショルツが足を伸ばすとオウンゴールとなり、ついに逆転に成功した。

 しかし、浦和があきらめるはずはなかった。アディショナルタイムに入る直前の120分、右サイドで酒井が猛烈なタックルで奪ってモーベルグへ、さらに外を回った走った酒井がもらうとセンタリング、クリアされるが大久保智明がボレーで狙い、これを明本がヘッドでコースを変えるとGKに左手一本で防がれるが、こぼれ球に反応したユンカーが右足で蹴り込んで、土壇場の土壇場で同点にしてみせた。

 PK戦ではGK西川が2本止めて「後ろにはファン・サポーター、仲間がいて、相手にプレッシャーを与えてくれたので、楽しめました」と誇らしげだった。

「2019年のリベンジの場所に帰ることができました」

 西川は3度目の優勝を決勝で阻まれた2019年の借りを返すチャンスが巡ってきたことを、素直に喜んだ。

現地取材◎平澤大輔 写真◎AFC

ACL東地区ラウンド16以降の結果

〈ラウンド16〉
■8月18日
大邱FC(韓国)1-2〈延長〉全北現代(韓国)
得点:(大)ゼカ(全)ソン・ミンギュ、キム・ジンギュ

神戸(日本)3-2 横浜FM(日本)
得点:(神)飯野七聖、佐々木大樹、小田裕太郎(横)西村拓真、アンデルソン・ロペス

■8月19日
パトゥム・ユナイテッド(タイ)4-0 傑志(香港)
得点:(パ)ウォラチット・カニスリバムフン、イフサン・ファンディ・アハマド、ティーラシン・デーンダー、チャトモンコル・トンキリ

JDT(マレーシア)0-5 浦和(日本)
得点:(J)(浦)アレクサンダー・ショルツ、ダヴィド・モーベルグ2、キャスパー・ユンカー2

〈準々決勝〉
■8月22日
神戸 1-3〈延長〉全北現代
得点:(神)汰木康也(全)マドウ・バロウ、グスタボ、ムン・ソンミン

浦和 4-0 パトゥム・ユナイテッド
得点:(浦)ダヴィド・モーベルグ、岩波拓也、小泉佳穂、明本考浩

〈準決勝〉
■8月25日
全北現代 2-2〈延長〉PK1-3 浦和
得点者:(全)ペク・スンホ、オウンゴール(浦)松尾佑介、キャスパー・ユンカー

※決勝は2023年2月19日(西地区ホーム)と26日(東地区ホーム)に開催予定


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