AFCチャンピオンズリーグの東地区は8月18日にノックアウトステージが始まり、ヴィッセル神戸と横浜F・マリノスの日本対決が行われた。序盤からゴールが生まれる白熱の展開となり、計5ゴールが生まれた。最後は神戸が3-2で逃げ切って、2020年大会以来のベスト8進出を決めた。

上写真=神戸が強度で上回って横浜FMを振り切った(写真◎AFC)

■2022年8月18日 ACLラウンド16(埼玉/11,528人)
神戸(日本)3-2 横浜FM(日本)
得点者:(神)飯野七聖、佐々木大樹、小田裕太郎
    (横)西村拓真、アンデルソン・ロペス

画像: ■2022年8月18日 ACLラウンド16(埼玉/11,528人) 神戸(日本)3-2 横浜FM(日本) 得点者:(神)飯野七聖、佐々木大樹、小田裕太郎 (横)西村拓真、アンデルソン・ロペス

「すべて私の責任」とマスカット監督

 白いユニフォームがバタバタとピッチに倒れていく。終了のホイッスルが響いた瞬間、横浜F・マリノスの選手たちが力尽きた。またもベスト8の壁に阻まれ、一方でヴィッセル神戸は2020年大会以来の準決勝突破の目標へ、一つ駒を進めた。

 試合はいきなり動いた。7分に横浜FMのビルドアップを汰木康也がカットして前へ出て右のオープンに送った。走り込んだ飯野七聖は、飛び出してきたGK高丘陽平をあざ笑うかのようなチップキックでゴールに流し込んでみせた。

 これで試合は一気にアップテンポになる。横浜FMはすぐさま追いつき、10分には右サイドを攻略、小池龍太が右前に滑り込ませてニアゾーンを取った仲川輝人がセンタリング、突っ込んできた西村拓真がダイビングヘッドで突き刺した。実に横浜FMらしいコンビネーションだった。

 だが、勢いに勝ったのは神戸のほう。鋭い出足で横浜FMのビルドアップのリズムを狂わせて、奪ってはピッチを広く使いながらスピード感を押し出して攻めに出た。15分の山口蛍のミドルシュートがバーを叩き、21分にも左のクロスを大迫勇也がヘッドで落としたボールを山口が至近距離からボレーで狙いながらGKにセーブされたが、この勢いが次の1点につながった。

 29分に飯野のプレスをきっかけに仕掛けたショートカウンターから、佐々木大樹が放ったシュートがDF實藤友紀の手に当たる。VARチェックののち、主審のオンフィールドレビューによってPKに。31分に佐々木が右に確実に決めて、神戸が再びリードを奪った。

 横浜FMは気圧されたまま、つなぎのパスにミスが続いていつもの流れるような攻撃が生まれない。時折エウベルが単独で突破して脅かすものの、ゴールに迫りきれなかった。ビハインドを負ったまま後半に入って攻めにパワーをかけようとしたものの、神戸の一歩が早いのは後半も変わらなかった。

 その象徴的なプレーが飯野の猛ダッシュだ。80分、左の汰木のセンタリングが逆サイドへ流れ、タッチラインを割りそうになりながら、飯野だけはあきらめなかった。ものすごいスピードで追いかけてぎりぎりで拾うと、山口に戻した。大﨑玲央を経由してから山口が右深くでリターンをもらって中へ、最後は代わったばかりの小田裕太郎がニアで蹴り込んだ。

 横浜FMは最後の力を振り絞って、90分に左からのエウベルの折り返しにアンデルソン・ロペスが決めて、土壇場で1点差に。さらにゴールに迫るものの、神戸も1点のリードを気迫で守り抜き、最後まで息つかせぬ展開のままタイムアップ。神戸が前回出場した2020年大会以来のベスト8進出を決めた。

 横浜FMのケヴィン・マスカット監督は当然ながら意気消沈。「すべての責任は私にある」と言葉に力がなかった。「選手はアグレッシブに最後まであきらめないで戦ってくれた」と称えたが、そのアグレッシブさで神戸に上回られた格好だ。

 神戸の吉田孝行監督は「おおよそプラン通りにいきました。相手はいまのJリーグ首位ですから、多少はやられるのは覚悟しましたが、それでも選手たちが戦ってくれました」とシビアに戦った選手を労った。「私たちはチャレンジャーなので、難しさは何もなくて、思い切りぶつかって結果を恐れずにプレーしようと選手を送り出しました」と、シンプルなプレーを求めたことがベスト8につながった。

現地取材◎平澤大輔 写真◎AFC


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