上写真=遠野大弥がJ1通算50試合を目前に(写真◎J.LEAGUE)
「100、150、200と積み重ねて」
遠野大弥はJ1第26節を迎える前で、J1通算49試合に出場している。この2シーズンを日本のトップリーグで戦ってきて、あと一つで節目の50試合。
「コンスタントに去年、今年と試合に出ることができている証拠だと思いますし、これから100、150、200と積み重ねて、自分の価値を高めていきたいと思っています」
まずはしっかり50のマイルストーンをクリアする。その試合が、次のアウェーでのアビスパ福岡戦だ。2020年にその一員としてJ1昇格を果たした古巣。すでに昨年も戦っているので、懐かしいスタジアムでの試合でももう余計に感情的にはならないと話すが、昨季はそのアウェーで0-1で負けて、リーグ30試合無敗という記録を絶たれている。一方で、この2年、ホームでは連続して「恩返し弾」を決めている。
「意識しているわけではないんですけど、自分がやってきたチームなので何をしてくるかがわかるというか、そういう意味でのやりやすさはあるかもしれません」
今年のホームゲームでのゴールは、山根視来が中央で受けたときにゴール前に潜り込んで縦パスを引き出し、そのまま右足で突き刺した会心の一発だった。
「インサイドハーフとして、ゴール前でも仕事ができるんだ、点も取れる選手なんだ、と意識しているので、それが出た試合だと思います」
今季、多くの時間でプレーするインサイドハーフとしての存在感を示す、象徴的なゴールになった。このポジションを与えられた選手は常にその難しさに直面するが、遠野も悩みながらも前進してきた。
「去年は右ワイドをやることが多かったけれど、今年はインサイドで、ゴールに向かう回数は少なくなってしまって、守備の部分も求められるので課題は守備だと思っています。攻めることはいいけれど、戻るところはまだまだ。間を締めるところも、インサイドハーフとしてもっと突き詰めないと」
攻撃でも守備でもタスクは山ほどあるが、それこそまさに、川崎Fにおけるインサイドハーフの醍醐味だ。成長の実感を福岡に遠慮なくぶつけていく。
「構えていると相手は強いので、なかなか崩せないですけど、中からつないでいったら食いついてきてスペースが空いてくるので、僕たちが焦れずにサッカーをすれば、スキが生まれてくると思っています」
今年のホームでのゴールが、まさに「中から」の結実だった。逆転優勝に向けた「50試合目の古巣戦」で、その再現を狙う。