上写真=登里享平はルヴァンカップ準々決勝第2戦でフル出場。ここからコンディションを上げていく(写真◎J.LEAGUE)
「前線の選手に任せすぎた」
「サイドバックが一番、全体を見ることができる」
それが登里享平の実感だ。最終ラインの角度のある位置に立ち、タッチラインを背にして自分のサイドのウイングもインサイドハーフもセンターバックも、そしてその向こうの逆サイドのウイングまで視野に入る。もちろん、相手の立ち位置も目に飛び込んでくる。
「だから、自分がコントロールできるようにしなければならない」
ピッチに帰ってきて、改めて思うことだ。
8月10日のルヴァンカップ準々決勝第2戦では、第1戦のアウェーでの1-1のドローを受けてセレッソ大阪を迎えた。マルシーニョが決めた2点のリードを奪って、あとは逃げ切るだけ、という90分と90+6分にまさかの連続失点、アウェーゴールの差で敗退を余儀なくされた。天国から地獄。
コントロールしなければならない、というのは、一つは確実なビルドアップについてだ。相手にボールを渡さなければ失点は原理的にありえないが、C大阪にはミスからボールを渡すシーンが目立った。
「スタートポジションがそもそもそこでいいのか、とか、ボールに全部関わりにいくべきなのか」
ボールを触るためにどんどん顔を出すことは悪いことではないが、相手と味方をよく見た上で動かなければ、損をするだけだ、と感じている。
「連戦ですし夏場なので、ボールを保持するのにサポートの意識やタイミング、距離感といろいろ改善しなければいけない部分はありますが、自分がそういうところもコントロールできるようにしていきたい」
2-0になってからの試合の進め方、終わらせ方のマネジメントの不備には強い反省を自分たちに求める。
「悪くない進め方はしたかなと思いますけど、失点してからバタバタして、試合の進め方や終わらせ方のところになってきます。しっかり失点したときに話すことが大事です」
新型コロナウイルス感染症で多数の陽性者が出た影響はまだ残っていて、チーム全体のコンディションが万全ではない状況で、酷暑の戦いになった。
「体力的な部分もあるかもしれないけれど、キープやボール保持の段階で、前線の選手に任せすぎたと思っています。ちょっとずつ押し上げたり、数的優位を局面で作って相手が嫌がるスペースを使いながらできればよかった」
これだけ解像度の高い反省点があるから、あとはもう残されたリーグ戦にすべてをぶつけていくしかない。首位の横浜F・マリノスとは直接対決で勝って8ポイント差とし、さらに消化試合数は2試合少ない。その2試合を勝てば2ポイント差までは迫ることができて、そうなれば逆転も見えてくる。
「ACLも天皇杯もルヴァンカップも敗退してしまって、もうリーグ戦しかないので、そこは絶対に取りにいかないといけない」
帰ってきた登里が、すべてが見えるサイドバックのポジションから、逆襲ののろしを上げる。