上写真=先制ゴールを挙げたエウベルとアシストしたA・ロぺスが歓喜の抱擁(写真◎Getty Images)
■2022年7月30日 明治安田生命J1リーグ第23節(@日産スタ/観衆31,599人)
横浜FM 2-0 鹿島
得点者:(横)エウベル、岩田智輝
徹頭徹尾、F・マリノスらしさを貫く
代表帰りが7人いる横浜FMは、そのうち畠中槙之輔、小池龍太、宮市亮(負傷で長期離脱)がベンチ外となった。藤田と水沼がベンチスタートとなり、一方で岩田、西村が先発。それでも十二分な陣容が組めるところが首位を走るゆえんだ。層の厚さは今季の横浜FMの大きな特徴でもある。対する鹿島もCBキム・スンテを出場停止で欠き、ボランチの舩橋は今季初先発だったが、こちらも層の厚さを感じさせるメンバーで注目の首位決戦に臨んだ。
試合は序盤から首位攻防戦らしい激しい攻防が繰り広げられた。互いにボールに対して鋭いアプローチを披露し、プレーの連続性を示す中、ミスによって瞬時に攻守が入れ替わる展開となる。先制点も、素早い攻守の切り替えから生まれた。
37分、鹿島のGKクォン・スンテのゴールキックが味方に渡らず、直接、横浜FMのボランチ岩田の元へと届く。これを岩田がダイレクトでエウベルにはたき、その動きを見て左サイドに開いていたA・ロペスへとボールが渡る。エウベルはパスと同時に中央を疾走。左からのクロスを呼び込むとダイレクトで右足を合わせてネットを揺らした。
スムーズな切り替えと鮮やかな連動。瞬時に同じ絵を描ける横浜FMの選手たちの持ち味が出た先制ゴールだった。ホームチームの1点リードで折り返した後半、横浜FMはピッチで持ち味を出す回数を増やしていく。シンプルかつスピーディーなボールの運びとアタッキングサードでワンタッチパスで敵のマークを回避する攻め。後半開始直後から何度も相手を押し込むと、51分に追加点を奪うことに成功する。
敵陣右サイドで得たFKの場面。永戸が入れたボールはDFに跳ね返されたが、ボックス外で待っていた岩田が右足を一閃。低い弾道のボールは相手に当たり、コースが変わってゴールイン。相手の攻め気を削ぐような岩田の今季初ゴールでリードを広げてみせた。
その後もベクトルを前に向け続けた横浜FMは鹿島陣内でプレーする機会を何度も作り出す。スペースを空ける意識と使う意識を複数人が瞬時に共有し、感じて実践するまで時間が、とにかく早い。あらゆる面の『速度』でまさる横浜FMが、ピッチ上で先手先手を取る流れは、その後も続いていった。
鹿島も土居に代えてエヴェラウドを投入するなど、流れを変えようと試みたものの、結局ペースをつかめず。スコアも変わらず2-0で試合終了。勝てば6ポイントを得るのと同じ価値があるとされる首位攻防戦は、横浜FMに軍配が上がった。両指揮官とも重要な試合と位置付けていたが、勝ち点差は「5」から「8」へと開いた。横浜FMは2019シーズン以来の優勝に向け、また一歩前進した。
取材◎佐藤 景