川崎フロンターレが7月2日の明治安田生命J1リーグ第19節で、セレッソ大阪に1-2で逆転負け。失点はどちらもFKから決められたものだが、鬼木達監督はそのFKを与えたファウルを「もったいない」と表現している。守備の基本を改めて整理して、ガンバ大阪戦に向かう。

上写真=鬼木達監督はC大阪戦の敗戦に「悲観はしていないが、内容が向上しているからOK、ではない」(写真◎J.LEAGUE)

止める選手と取りに行く選手

 ジュビロ磐田戦、85分。セレッソ大阪戦、59分、90+2分。

 川崎フロンターレがいずれもセットプレーから失点したシーンだ。磐田戦はCKから、C大阪戦はどちらもFKから。1-1と1-2というスコアで終わったから、合わせて勝ち点5をセットプレーからの失点で取り逃がしたことになる。

「いままではそれほどセットプレーでやられていなかったので、余計にそういう部分で意識されてしまいますが」

 鬼木達監督はセットプレーそのものに意識を置きすぎることの危険性を指摘する。

「頭でわかってはいますし、狙われるところもわかっています。ただ、セットプレーだけにフォーカスしすぎてしまうと、動く体も動かなくなってしまうんです」

 もちろん、失点するということはボールが届く先で何かが足りないことを意味するのだが、「その前」について分析しなければ本当の解決にならない。つまり、そのセットプレーをどうして与えてしまったのか、について。

「一つひとつを見てみると、セットプレーになる前の、自分たちのファウルがもったいないと思います」

 C大阪戦で言えば、ルーズボールを収められてから前向きでドリブルした奥埜博亮への反応が遅れて、チャナティップが後ろから足をかけてしまった。

「最初に誰が止めに入るのか、そして誰が取りに行くのか。1失点目のフリーキックになったファウルは、(ボールホルダーを)4人で囲んでいるんですね。前で止める選手とボールを取りに行く選手がはっきりすれば問題ない場面です」

 正面に大島僚太と脇坂泰斗がいて、横に家長昭博、そして後ろにチャナティップがいたから、足を出さなくても止める可能性が高い配置で守ることができていた。

 2点目もボールとは直接関係のないところで、中原輝が走り出したコースを佐々木旭が体をぶつけてふさぎ、手が相手の顔に当たって鼻血が出てしまい、警告を受けている。

「2点目も慌ててファウルする場面ではないと思います。まずスピードに乗った選手の正面に立つことが重要で、そこから対応するべき。横から入るとどうしても持っていかれてファウルになってしまいます」

 守備の基本をもう一度整理する、という反省である。

 3連覇を目指すチームとしては、すでに一度喫している連敗を再び繰り返すわけにはいかない。7月6日のサガン鳥栖戦は鳥栖の選手と関係者に新型コロナウイルスの陽性診断が出て活動停止となり中止になったため(代替日は後日決定)、次のガンバ大阪戦が大一番になる。余計なファウルは致命的になりかねない。

 鳥栖戦の中止が決まる前の取材では、鳥栖を想定した分析を口にしているが、それはどの相手にも通用するポリシーだ。

「流れが向こうにいく時間は必ずあるので、慌てることなく自分たちのサッカーをやり続ける力強さが必要です。そこで『変わる』のではなく『続ける』ことが大事になってきます」

 G大阪に対しても、慌てず、変わらず、続ける、である。


This article is a sponsored article by
''.