上写真＝武藤雄樹が柏サポーターが陣取るゴール裏の目の前で、鮮やかにヘッドで決めて雄叫び！（写真◎J.LEAGUE）
■2022年7月2日 J1リーグ第19節（三協F柏/12,462人）
柏 1-2 鹿島
得点者：（柏）武藤雄樹
（鹿）キム・ミンテ、エヴェラウド
「フォワードは一つのゴールで本当に勢いが出る」
交代直後の同点ゴールに、日立台が沸きに沸いた。J1第19節で鹿島アントラーズを迎え、0-1のまま折り返した61分に、武藤雄樹の出番は回ってきた。その2分後だった。
右サイド深くで川口尚紀がマイナスにスローイン、受けたマテウス・サヴィオが下がりながら持ったときに武藤が中央で両手を挙げて要求すると、左足からインスイングのクロスが送られてくる。目測を誤った関川郁万の動きまで見切っていたかのようにその背中側にもぐり込むと、体を投げ出すように、しかししっかりと頭をボールにぶつけてゴールに送り込んでみせた。
「前回決められたことで、自信を持ってピッチに立てました。フォワードは一つのゴールで本当に勢いが出るもので、チームのためにという思いがすぐにピッチに出たと思います」
前々節のヴィッセル神戸戦で、63分にピッチに入ってからすぐにCKのこぼれ球を左足でたたき込んで3-1とリードを広げてみせた。こちらも登場から2分後。武藤が入れば何かが起こる。
だが、3-1で勝利を収めた神戸戦とは違って、この日の鹿島戦は終盤に決勝点を奪われて負けてしまった。敗因は自分にある、と責任を自己に求めた。
「僕が入ってからチャンスはあった中で決めきれなかったのは、一番の敗因です。僕自身にもゴール以外でもチャンスがあっただけに、もう1点決めなければいけなかった」
中村慶太と同時にピッチに入り、最前線でボールを引き出す武藤と、ボランチに入ってリズムを生み出した中村で逆転への勢いをつけた。ネルシーニョ監督も「技術のクオリティーが高い慶太が入ることで、狙い通りに流れを変えてくれた。武藤はしばらくケガの影響もあり実戦から遠のいていたこともあって、まだ彼の理想からは程遠いだろうが、途中から入って得点を決めて結果を残し、攻撃のアクセントになった」と評価した。
だからこそ、続くチャンスに決められなかった自分に納得がいかない。その最大のものは89分で、右のニアゾーンでスローインを受けた小屋松知哉が折り返し、難しい高さのボールだったが巧みにボレーシュート、これがバーをたたき、すぐにこぼれ球に反応してヘッドでゴール前へ、森海渡が至近距離から放ったヘディングシュートはバーを越えていった。
横浜F・マリノス、鹿島と上位2チームとの連戦を連敗で終えることになった。一気に上位に肉薄するチャンスを失ったのは痛いが、ここであきらめるほどやわではない。
「チームとしてはなかなかチャンスを作れない試合が事実としてあったので、今日はチャンスを作れたことを前向きにとらえて、ここから再現性を持って作れるかどうか。あとは決めきることにフォーカスしていけば、勝ち試合に持っていけると思っています」
サッカーで一番難しいところはそこ、とも話したが、ここまで出場112分で2ゴール1アシストを記録して高い集中力を示している武藤が、その難題に挑戦し続ける。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE
