上写真=鬼木達監督は「よくないときに修正することをもう一度、意思統一したい」(写真◎スクリーンショット)
「個人戦術とはそれぞれの武器」
川崎フロンターレが、東京ヴェルディに負けた。
6月22日の天皇杯3回戦。39分にやや不運な形から先制ゴールを許した。そこから猛攻を仕掛けて、放ったシュートは14本。しかし、1点が遠かった。
「もう、この世界はそういう世界です」
結果が何よりも物を言うのだ、と鬼木達監督。悔しくないはずはない。これで、狙っていた4つのタイトルのうち、AFCチャンピオンズリーグと天皇杯の2つを失った。
「切り替えてやるしかないと思っています。どれだけ次のゲームに頭を持っていけるか。ただ、敗戦はしっかりと受け止めて、次の磐田戦で勝ちたい思いを出さないと、意味のない敗戦になってしまう。選手には勝つことを求めていますし、勝ち続けたい思いがより強くなりました」
敗因は「同じ絵を描けるシーンが少なかった」こと。
「イージーミスが多かったので、同じ絵を描くことができませんでした。あとは、描けなかったときに何ができるのか。それが個人戦術の重要なところで、まだ課題としてあると思っています」
その「個人戦術」というのがまた、難しい。鬼木監督にとっては、言い換えると「それぞれの武器」なのだという。
「選手個人のせいにしているという意味ではなくて、個人戦術とはそれぞれの武器だと思っています。その瞬間に何を感じ取れるか、チームの約束ごとや狙いがある中でも、そこでそれぞれの特徴をどれだけ磨き上げるか。そのためには、自分をよく知るということが重要だと思います」
自分に何ができて何ができないかを知ることは、実はとても難しい。しかも、できることは時間も空間も限られた一瞬でやり抜く必要がある。
「試合の中で、こうなったらこれがいま必要だよね、というものが頭にパッと出てきて、表現できるようなことが攻撃でも守備でもできるようにしなければいけないし、それは選手個人個人で違うのでそれぞれに話をしていかなければと思っています」
その個人戦術を磨き上げるものの一つが「思い」だろう。
「もっともっと勝負にこだわらなければいけない思いは強くなりました。もちろん、(東京V戦でも)こだわっていないわけではないですが、90分を通して自分たちのゲームにならないときもあって、それでも勝ち切る力が必要です。延長の120分間、そのあとのPK戦まで覚悟する姿勢を持って戦わなければいけなかった」
そのすべてが試されるのが、J1第18節のジュビロ磐田戦だ。前回対戦では苦しめられて、アディショナルタイムになんとか追いつく1-1のドローだった。
「改めてここから勝ち切ることの重要性を感じました。(東京Vに)負けたからこそ、そういう思いが湧いてきました」
敗戦の苦々しさを忘れるには、磐田への甘い勝利しかないだろう。