上写真=山根視来は日本代表から戻って札幌戦の大勝に貢献した(写真◎J.LEAGUE)
『このスペースにも攻撃できるのか』
山根視来は日本代表から戻って戦った前節の北海道コンサドーレ札幌戦で、「フロンターレらしいと感じることができた」と5-2の勝利を振り返った。らしい、とはどういうことなのか。
「フロンターレがほかのクラブと一番違うのは、真ん中を攻めることができることだと思っています」
日本代表のスタイルで戦ったあとにチームに戻ると、その「らしさ」をより敏感に感じることができた。特にこの札幌戦では、大島僚太が負傷から戻ってきてアンカーに入ったことも大きかった。ピッチのど真ん中でゲームを作ることのできる、誰もが認める天才的な存在だ。
「僚太くんが入ったことで、相手が真ん中に人数を割いてきても、『このスペースにも攻撃できるのか』と思わせるのがフロンターレらしさだと思います。そして、中を攻めることでサイドも空いてきますから、サイドでもより強力な攻撃ができます」
そのサイドを担うのが、山根だ。例えば15分には、中央からのパスを右で受けてフリックして知念慶に流して起点になり、最後は大島のシュートにつなげている。大島だけではないが、中央を攻め抜くことができるというこのチームの特徴は自らのプレーにも影響を与えている。
「いまは外に張るときなのか上がるときなのか、低い位置にいるときなのか中に入るべきなのかという判断は常にするようにしていますし、一人入っていけばフリーになる選手が出てきます。そうなると相手は捕まえづらくなるので、その流れの中で周りを見ながらやっていければいいと思います」
山根はベンチ入りしなかったが、6月22日の天皇杯3回戦ではJ2の東京ヴェルディに0-1で敗れて、狙っていた4つのタイトルのうち、ACLに続いてまた一つ失った。だからこそ、もう一度勢いを取り返すために、中2日で巡ってくるJ1第18節のジュビロ磐田戦は勝たなければならない。前回対戦では、知念のゴールでアディショナルタイムになんとか追いつく展開。苦しめられた分のお返しをしたい。
「相乗効果というか、まずは中を崩すことを体現できる選手(大島)がいるので、前回の対戦のときとは違うし、これからフロンターレと試合をする相手に警戒されるように、かなり中から来るようになったなと相手が感じるような試合にしたいと思います」
中を攻め、警戒させておいて、外から仕留める。山根が日本代表で6月10日のガーナ戦で決めたゴールは鮮やかだった。次の磐田戦でも、J1で3月以来の今季3ゴール目を見たいところだ。