5月8日の明治安田生命J1リーグ第12節で、FC東京がサガン鳥栖を迎えた。ともに攻撃に強みを押し出すだけに、前半からどちらのゴール前でもチャンスが生まれる展開だった。しかし、ゴールは一つだけ。鳥栖の堀米勇輝がFKを直接決めてアウェーで勝利、順位をひっくり返した。

上写真=堀米勇輝(44)がFKを直接決めて笑顔。サポーターも歓喜!(写真◎J.LEAGUE)

■2022年5月8日 J1リーグ第12節(味スタ/15,822人)
FC東京 0-1 鳥栖
得点者:(鳥)堀米勇輝

画像: ■2022年5月8日 J1リーグ第12節(味スタ/15,822人) FC東京 0-1 鳥栖 得点者:(鳥)堀米勇輝

「サッカー以外の要素が結果に影響を及ぼすことがある」

 球際の勝負とスピード感、もたつかずに迷わずゴールを目指していく潔さ、ゴール前の一瞬の攻防の連続。お互いが持ち味を出し惜しみせずにぶつけ合う好ゲームは、アウェーのサガン鳥栖が最後に勝ち点3を手に入れた。

 鳥栖が17分にGK朴一圭のロングパスから右サイドを堀米勇輝が抜け、逆サイドに送って岩崎悠人が狙ったシーンは、シュートの瞬間にFC東京の中村帆高が体で止めた。今度はFC東京が23分に右サイドから中村が抜け出して逆サイドに滑り込ませ、レアンドロが切り返してかわそうとするが、朴が飛び出してストップする。28分に中央でレアンドロとのワンツーから松木玖生が狙うがDFがブロック、30分にレアンドロが狙った20メートル弱のFKはバーが弾き、34分に永井謙佑のドリブルから安部柊斗が右に抜け、マイナスに折り返したボールを松木が狙い、朴がはじいたボールを永井がシュート。FC東京が連続攻撃で襲いかかった。

 すると今度は鳥栖の番。37分に左から菊地泰智がサイドチェンジ、飯野七聖が受けてセンターバックの原田亘が外を追い越し、飯野に戻してセンタリング、小野裕二がヘッドで狙った。43分に左サイドをショートパスで崩し、菊地のクロスに飯野がヘッドで合わせるが、GKヤクブ・スウォビィクがスーパーセーブでかき出した。

 後半開始早々にゴール手前でバックパスの処理をミスしたスウォビィクが手でかき出してしまい、至近距離から鳥栖に間接FKが与えられる。小野のシュートはFC東京がつくった10人の壁が阻んだが、このプレーをきっかけに展開はオープンになっていく。

 この流れをさらに強めたのは、59分のFC東京の3人替え。ディエゴ・オリヴェイラ、アダイウトン、紺野和也を投入して一気に攻撃の圧力を高めた。67分にはさっそく松木のパスでアダイウトンが快足を飛ばしてゴールに迫り、ノーモーションから右足インサイドでゴール右を狙うが右ポストに阻まれる。鳥栖も74分に垣田裕暉とジエゴを投入して3バックに整えて守備を整理し、力をイーブンに戻していった。

 そんな入れ替わりの激しい展開の中で、ゴールが生まれるには81分まで待たなければならなかった。中央付近、20メートル弱のFKを堀米勇輝が得意の左足でゴール左にていねいに送ってネットを揺すり、ついに先制した。このFKは、カウンター気味に仕掛けて得たCKから、クリアされて競り合いになったところで受けたファウルで手にしたもの。連続的に攻撃を仕掛けた鳥栖らしい前への迫力が、ゴールにつながった格好だ。

 これが決勝点となって、鳥栖がアウェーゲームで見事な勝利。勝ち点18のFC東京をひっくり返して勝ち点19の5位として、順位でも上に立った。

「たまに理不尽なフットボールの負けがあって、今回もそうなる雰囲気もありましたが、今日の出来からすれば勝ちは妥当だと思います。選手はよく勝ち点3をつかんでくれたと思う」と勝った川井健太監督。「負けに値するプレーをしていたかと言えばそうではない。サッカーというスポーツでは勝利にふさわしいプレーをすれば勝てるわけではなく、負けに値する試合をしたら負けるとは限らない。今日はサッカー以外の部分が結果に影響を及ぼした」と負けたアルベル監督。

 どちらにもチャンスがあっただけに、お互いが勝利に近づいたことは間違いない。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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