柏レイソルFW森海渡が、5月3日の明治安田生命J1リーグ第11節でプロ初ゴールを含む2得点を挙げ、逆転勝利に貢献。筑波大に籍を残したままサッカー部を退部して1年早くプロ入りしたルーキーが、ついに結果を出した。

上写真=殊勲の森は広島まで大挙駆けつけた柏のファン・サポーターをバックに2得点の『2』ポーズ(写真◎J.LEAGUE)

■2022年5月3日 J1リーグ第11節(@Eスタ:観衆10,821人)
広島 1-2 柏
得点者=(広)ジュニオール・サントス
    (柏)森海渡2

単位は取得済み、あとは卒論だけ

 前節までリーグ3連敗中の柏は、サンフレッチェ広島とアウェーで対戦したこの日も前半に先制され、0-1でリードされていた。だが70分、FW細谷真大に縦パスが入った瞬間に森が最終ラインの背後へスタート。細谷のスルーパスをコントロールすると、エリア外中央から右足で正確に右下スミを突くシュートを放ち、ネットを揺らした。

 64分から交代出場していた森は、これがプロ初ゴール。細谷にパスが入るところで「背後が空いてるのは分かっていた」と語り、相手DFが寄せてくる前に放ったシュートを「ちょっとタッチが小さくなって、相手につつかれそうだったんですけど、右下を狙っていたので、うまくいってよかった」と振り返った。

 さらに87分、敵陣深い位置でMF小屋松知哉が相手のバックパスをカットしたボールを拾うと、ドリブルでエリア内に侵入。右足でニアサイドを狙ったシュートが、再び広島GK大迫敬介を破った。エリア内で広島DF荒木隼人と対峙したときに「ニア(のコース)が切られている感覚があったので、ニア上を打ち抜こうと思った」という強烈な一撃だった。

 1点目は同点ゴールだったため、すぐにボールを拾いに行って次のキックオフへと急いだが、2点目の逆転ゴール後は看板を飛び越え、柏のファン・サポーターが待つゴール裏スタンドの前までダッシュ。そこにチームメイトも駆け寄ってきた歓喜の瞬間を「最高の一言です!」と喜んだ。

 地元の千葉県出身、U-12、U-15、U-18と柏のアカデミーでプレーした生え抜きで、筑波大に進んで力を伸ばし、4年生になる今年度に1年早くプロ入り。「Jリーグがゴールではないし、ここから結果を残して世界に羽ばたいたり、日本代表など、もっと上のレベルに行くことが目標。そこから逆算したら、早く行った方がいいんじゃないかと考えた」末の決断だった。

 サッカー部は退部したものの大学には籍を残してあり、必要な単位は取得済み。卒業論文を残すのみという状況で在学したまま、プロとして日々練習を重ねているが、この日までリーグ戦1試合、JリーグYBCルヴァンカップ4試合に交代出場しながら結果を残せていなかった。

「フォワードなので、結果を残すことがすべて。その気持ちが出たシュートだった」とコメントしたルーキーは、「2得点という目に見える結果を残せた。でも、まだまだこれから、というのが正直な印象」と喜びと課題を口に。「守備でのハードワークが求められている。攻撃でも、点を取ることが仕事だけど、それだけじゃない。チームのために起点になったりするところが課題」と今後を見据えた。

 試合終了から約1時間後の取材対応の前に、すでに祝福のメッセージがたくさん来ていたそうで、「LINEがたくさん来ていたか」との報道陣の質問に「来ていました」とニッコリ。それでも「結果を残せたけど、またトレーニングからアピールして、(レギュラーに)食い込んでいけるようにやっていきたい」と語り、早くも次節に視線を向けていた。

現地取材◎石倉利英 写真◎J.LEAGUE


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