上写真=佐々木旭は強烈なミドルシュートでゴールに近づくなど、攻守に存在感を示した(写真◎KAWASAKI FRONTALE)
■2022年4月21日 ACLグループI第3節(スルタン・イブラヒム・スタジアム)
川崎F 0-0 ジョホール・ダルル・タクジム
「次はまた違った試合ができる」と鬼木達監督
「ジョホールはホームチームということで、会場の雰囲気も含めて手強い相手だったと感じています」
谷口彰悟が振り返ったJDTとの90分。0-0で引き分けた試合は、相手のファウル覚悟の勢いをしっかり消して無失点に抑えた手応えと、ゴールを決めきれなかった無得点の物足りなさを残した。
「ただ、自分たちがしっかりやれれば絶対に差を付けられるということも同時に感じた90分でした」
JDTとは中2日でもう一度戦うスケジュール。次の90分で白星を手にするイメージができたことも、収穫の一つだった。
「この会場の雰囲気も相手の特長をつかめた部分もあります。自分たちのクオリティーを上げないと最後のゴール前で差を出すことができないと思うので、チームみんなで取り組んで次は勝ちたい」
谷口はキャプテンとして、総合力に自信を持っている。その「ゴール前での差」を見せかけたのが、マルシーニョと佐々木旭だ。
左ウイングのマルシーニョは俊足を生かして何度も脅威となり、13分には遠野大弥の縦パスで抜け出してセンタリング、レアンドロ・ダミアンのフィニッシュを促した。27分にもジョアン・シミッチのミドルパスで抜け出してからマイナスへ、これを遠野が強烈に狙った。だが、ゴールには結びつかない。
「やはり難しい試合になった」と振り返るのは、そのマルシーニョ。
「事前の分析で相手の背後のスペースを突く狙いがあって、試合前からチームメートと話しながら意図したプレーはある程度出せたのかなと。ただ、ゴールが遠かった。後半、相手も修正してきてスペースを突けなくなったところもあります」
前半の途中からJDTが3バックから4バックに変更してきたのは、マルシーニョが再三、DFの背後に抜け出したことへの対策だっただろう。同じように、左サイドバックの佐々木もスペースを突いてビッグチャンスを作っている。
20分にはシミッチのミドルパスを引き出してゴールに向かって走り、後ろに切り返してから右足で狙った。74分には相手ボールを奪ってそのまま相手の足が止まっているスキを突き、ぐいぐいと中央をドリブルで割って、そのままペナルティーエリアの外から強烈な右足シュートを見舞った。惜しくも右ポストに当たってゴールラインを割っていった。
「内容としてはそこまで悪くなかったと思いますが、得点が取れなかった。Jリーグでもそうですけど、1試合3点以上という目標を掲げているからには、得点力、決定力の精度をもっともっと上げていかなければいけないと感じています」
テクニシャン揃いのJDTにも冷静なステップで対応して守り、攻めてもビッグチャンスを生み出して、ルーキーの域を超えた堂々たるプレーぶりだった。
「次は差を付けられるように、もう一回チームみんなで取り組んでいきたい」と谷口。
「総力戦なので全員で準備しなければいけない。まずはゆっくり休み、改善すべき点はしっかり改善して全力で挑みたい」とマルシーニョ。
「今回引き分けてしまったので、グループステージ突破のためには絶対勝つしかない。頭を切り替えて勝つことだけに集中して、次は2点、3点と取れるようにしたい」と佐々木。
そして、鬼木達監督が必勝を誓う。
「ジョホールは一人ひとりが頑張りますし、組織としてもオーガナイズされていて崩すのは難しいという印象があります。ただ、落ち着いて自分たちのサッカーを取り戻すことで、次はまた違った試合ができると思っています」
JDTが2勝1分けで首位、川崎Fが1勝2分けで2位。勝ち点は7と5で、その差はたったの2。次こそ勝って、確実に首位を奪い返す。