上写真=知念慶はコービンオングの激しいチャージにもひるまずに渡り合った(写真◎AFC)
■2022年4月21日 ACLグループI第3節(スルタン・イブラヒム・スタジアム)
川崎F 0-0 ジョホール・ダルル・タクジム
「いいところでスピードを上げてしまって」
知念慶は怒っていた。
右ウイングで先発した知念に対し、前半途中から3バックから4バックに変更したJDTがラベル・コービンオングを左サイドバックとしてぶつけてきた。手を使い、足を払い、何度も倒されて倒されて、知念は感情をあらわにした。
「ザ・ACLという感じでタフなゲームでした。相手が球際で厳しくきていて、自分たちもそれに合わせてしまったところがあったかなと」
Jリーグではあまりお目にかからない強度の高さと、なかなかファウルと判定しないレフェリング。JDTは自分たちのホームスタジアムでの開催だから、サポーターの大声援を受けていきなりトップギアでぶつかってきた。お互いにヒートアップしつつも、川崎Fが素早くパスを動かしてJDTのプレスの圧力を減じると、疲れも重なって主導権を握っていく、という展開。
知念も後半に度重なるファウルを受けて感情をぶつける場面もあったが、プレーは冷静そのものだった。右サイドで起点になり、強さとうまさを組み合わせて突破を繰り返す。85分の交代策でセンターフォワードに移り、最後までゴールを狙い続けた。だが、0-0で終了。
「ビルドアップでもう少し時間を作っていく」ことが反省点。「いいところで自分も含めてスピードを上げてしまって、そこで相手にボールを刈り取られるシーンがあった」と攻撃のテンポを調整する課題が見えた。「完全アウェーの雰囲気にのまれたところもあったかもしれないし、もう少し自分たちのペースでやれたかなという気持ちもあるが、相手もかなり厳しくきていて、これがACLだなと」。3戦目にしてアジアの厳しさをはっきり痛感した。
「前半、前からプレッシャーをかけて何度かチャンスがあったが、決定機がたくさんあったかというとそうでもなかったし、数少ないチャンスを確実にものにしなければ勝てないなと改めて感じた試合でした」
相手の裏のスペースががら空きで、ジョアン・シミッチのミドルパスが冴えてマルシーニョや佐々木旭を走らせてチャンスは作った。
「3日後、また同じチームとの対戦があります。今日以上にタフなゲームになるかもしれないけれど、今回で相手の特徴やスタジアムの雰囲気はある程度わかったので、次は絶対勝てるように準備したい」
ここまでの3試合すべてでプレーして、この日はフル出場。総合力が問われる大会で、センターフォワードでもウイングでもプレーできて、ドリブルもフィニッシュも力強い、という幅の広さが、チームを救うときが来るはずだ。