上写真=車屋紳太郎の握りこぶしに興奮が宿る。起死回生の同点ゴールだった(写真◎AFC)
■2022年4月15日 ACLグループI第1節(タン・スリ・ダトー・ハジ・ハッサン・ユヌス・スタジアム)
川崎F 1-1 蔚山
得点者:(川)車屋紳太郎
(蔚)レオナルド
「自分らしくないゴールでした」
目の前にボールがこぼれてきた。「体が勝手に反応しました」。すかさず得意の左足を振り上げて、ボールを確実にたたいた。90+4分。川崎フロンターレを敗戦の危機から救った、車屋紳太郎の貴重な貴重な同点ゴールだ。
0-1のビハインドで迎えたラストプレー。脇坂泰斗の左からのCKをGKチョ・ヒョヌが両手でキャッチ…したはずのボールがこぼれ落ちた。
「ラストプレーだと分かっていました。キーパーがボールをこぼしたときには、体が勝手に反応しました。自分らしくないゴールでした。90分を通してみんなが押し込んだことで、あの場面があったのだと思う。そういう選手たちのゴールでもあると思います」
21分に先制を許したが、後半はキックオフから押し込んで、交代選手を5人起用して攻撃のパワーを増していった。車屋も69分に入った一人。J1開幕戦で負傷してから戦列を離れていて、これが復帰戦だった。そこでいきなり大仕事をやってのけたのだから、たまらない。
「これまでケガでなかなか出られなかったので、自分自身プレーしたかったし、チームメートに迷惑をかけていたのでとにかく残り時間でチームに勢いを与えたいと思いました。ゴールという最高の形が取れましたけど、何かしらいい影響を与えたいと思っていました」
いい影響、どころではないだろう。敗戦スタートとドロースタートでは大違いだ。
「引き分けと負けるとでは、短期決戦を戦う上での残り5試合に向けた気持ちの面ですごく変わってきます。勝ち点ゼロと勝ち点1というのは違うと思います」
チームに大きな勇気を与えた1ポイント。帰ってきた車屋の左足が、幸運を呼んできた。