上写真=ディエゴ・オリヴェイラはチームの象徴。「得点を取れていないのが悔しい」とゴールを見据える(写真提供◎FC東京)
「落ち着いていて気負いはありません」
「満足していたら、センターフォワードはやっていられません」
FC東京のエース、ディエゴ・オリヴェイラは、今季のJ1で7試合すべてに先発出場して2得点。3トップのセンターでプレーして、「不満があるわけではないが、満足していない」と心の内を明かす。チームの戦い方に悩んでいるわけではなく、自分のゴールが少ないことに納得できていない、という意味だ。
今季は京都サンガF.C.とヴィッセル神戸からゴールを挙げているが、どちらもペナルティーエリアの中で一瞬の集中力で仕留めている。
「フォワードは決定機での一瞬の判断が大事になってきます。ゴールは2つとも集中力を持ってできたから決まりました」
そうやって自らを評価するが、「ほかにもチャンスがあったから、もっと高めなければ」とやはり満足はできない。一方で新しいスタイルへの適応も進んで、戦術的なアクションには手応えがある。
「チームのために走ることに加えて、戦術的に中盤でスペースを消したり、相手を誘導させるということを先頭に立ってやっています。得点を取りたい気持ちはありますが、まずはそういうところで貢献できているので落ち着いていて気負いはありません」
ヴィッセル神戸戦では逆転弾となる森重真人のゴールをアシストするなど、得点以外の場面でも相手を脅かしている。さまざまな局面において大いなる選手であることを、アルベル監督も強調する。
「J1で最も素晴らしいセンターフォワードの一人だと評価しています。攻撃面だけではなく、守備でもチームのために走って貢献することを開幕からしっかりと証明してくれています。ピッチの外でも素晴らしい人物で、偉大なリーダーでもあると証明しています」
大きな信頼をべた褒めに込めたが、アルベル監督が常に協調するように、今季は新スタイルへの移行期間。エースにとっても同じだ。「これまでもなかなかゴールが取れないときもありましたが、1点取れれば波に乗れると思います」とイメージはできているし、アルベル監督も「さらなるゴールやアシストにも期待していますし、決めることで彼のプレッシャーが減ることにも期待しています」と楽しみにしている。
そんな「次の1点」を、4月16日の北海道コンサドーレ札幌戦で生みだしたい。昨年は2-3で敗れたアウェーでは出場していないものの、ホームゲームでは2-1の勝利を収めた。しかも、2点ともディエゴ・オリヴェイラが決めたものだ。猛然とドリブルで仕掛けて倒され相手の退場を誘い、そこからのFKに合わせて先制。2点目も突破から倒されて得たPKを冷静に決めた。サッカーは相性で決まるものではないが、期待は高まる。
「札幌にはクオリティーのある選手がいて、(ミハイロ・ペトロヴィッチ)監督も素晴らしいので、毎回難しい試合になるというイメージです。だから私たちもしっかり戦わないといけないとわかっています。この前の試合は浦和にホームで引き分けたので、しっかりいい準備をして勝ち点3を取らなければいけないと思っています」
チームのために汗をかき、その結果として満足のゴールを。2年ぶりの札幌で、ストライカーの本能がうずくディエゴが吠えれば、新生FC東京はまた一歩進化する。