FC東京のアダイウトンが10日に行われたJ1第8節の浦和レッズ戦後に取材に応じ、0-0に終わった激闘を振り返った。後半から登場すると、チームの攻撃を活性化したが、ゴールを生み出すことはできず。ただ勝利は手にできなかったものの、チームとしては着実に成長していると話した。

上写真=柴戸のチェックを振り払うように前進するアダイウトン(写真◎J.LEAGUE)

■2022年4月10日 J1リーグ第8節(味の素ス/観衆22,429人)
FC東京 0-0 浦和

成長を感じるのはポゼッションの部分

 前半を0-0で終え、アダイウトンはゲームを動かす役目を期待されて後半開始からピッチに入った。プレーしたのは紺野和也に代わって務めた左ウイング。ワイドに構えてボールを呼び込み、果敢に縦を突くプレーで浦和守備陣の攻略を目指した。

「立ち上がりからプレスを受けて非常に難しい試合でした。スペースを使い、リズムを取り戻すようにと指示もあったので、それを意識してプレーした」

 連戦と暑さによる消耗で、時計が進むにつれて苦しい表情を見せる選手が増えていった。その中でアダイウトンのキレのある動きは、際立った。終盤83分には安部柊斗からサイドを変えるパスを受けると、ボールをグイグイと持ち上がり、ボックス手前からシュート。86分にも左サイドの深い位置まで進入し、クロスを供給。山下敬大のヘッドを導いたが、シュートはクロスバーを越えた。

 間違いなくアダイウトンは後半、FC東京の攻撃を活性化させた一人だろう。パワフルなドリブルで浦和守備陣を何度も慌てさせた。しかし、ゴールを生むことはできなかった。「少しずつ自分たちのリズムに持っていけたとは思います。でも勝ち点3を奪うことができなかったことは悔しい」。好機がなかったわけではないものの、決め切ることができなかった。引き分けを勝ちに持っていく、そんな決定力と勝負強さを安定的に発揮するために、いまチームは変革に取り組んでいる。

「チームとして成長していると感じるのはポゼッションの部分です。これまでとはポジショニングが違います。ボールを持つ時間が長くなり、チームメイトがどこにいるのか、どこからパスが来るのかが、分かりやすくなり、自分がどこにポジションを取るべきかも分かるようになってきています」

 アルベル監督就任後、チームはポジショナルプレーに取り組み、適切な位置取りとボール回しによって強み(優位性)を最大化するスタイルへの転換をはかっている。サイドで1対1を仕掛けて突破し、数的優位を生み出すところが他の選手にはないアダイウトンの特長だろう。前述の安部のパスそうだが、チームの武器の一つがアダイウトンの突破力であることをチームメイトも認識し、1対1で勝負できる展開を生み出していた。

「日に日によくなっているイメージはありますし、これからもまだまだよくなると思います。難しさは感じていないですね。1日1日、1試合1試合、良くしていこうと思って取り組んでいます」

 アダイウトン本人もいまチームが求めているスタイルについて、可能性を感じていた。それが完成したときには、自らの力がさらに引き出され、貢献度が増し、そして引き分けを勝ちに持っていく、そんな力がFC東京に付くと信じている。進む道に、間違いはない。


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