横浜F・マリノスのキャプテン、喜田拓也が4試合ぶりの出場を果たした。ケガ明けで調子は万全とはいえず、強風強雨でグラウンドコンディションは最悪。それでもピッチに立つ者の責任を胸に戦い抜いた。スコアは0-0ではあったが、そのことがこの試合の価値だと話す。

上写真=喜田拓也は4試合ぶりのゲームに。23分には素晴らしいミドルシュートでゴールを襲った(写真◎J.LEAGUE)

■2022年3月18日 J1リーグ第5節(ニッパツ/6,689人)
横浜FM 0-0 鳥栖
得点者:(横)なし
    (鳥)なし

「体が壊れてでも勝ちにいく」

「この普通ではない状況の中で、勝ちだけを目指して戦いました」

 普通ではない、とはもちろん、強烈な雨と風のこと。キックオフからほどなくしてピッチは水たまりと化して、ボールが進まない。ノッキングの連続はストレスを生むばかりで、お互いの持ち味が出せないままの90分となった。

 そんな苦しい試合が、横浜F・マリノスのキャプテン、喜田拓也の復帰戦となった。負傷で3試合に欠場していて、4試合ぶりのピッチが、最悪のピッチコンディションだった。

「結果は引き分けに終わりましたが、普通であればこんな日もあると片付けたいところでもあります。でも、もっともっと成長したいし、最後に大きなものをつかみたいので、この中でも成長できたことや伸ばすところ、手応えを整理して、次に進みたい」

 喜田の言葉にはいつも力がこもるが、手応えとはまさにそれが象徴するような熱量だという。

「今日はこんな状況でもチームメートやスタッフだけではなく、ファン・サポーターも足を運んでくれて、勝利への熱量や姿勢は非常に大きなものがありました。この姿勢は次につながっていくと感じたので、今日はポイントこそ1ですが、必ず次に勝ちにつなげる材料はあると思っています」

 だから決して無駄な90分ではないし、価値ある勝ち点1だった。

 この試合の前には新型コロナウイルス感染症の陽性者が出るなど、チーム全体の状態も万全とは言えず、喜田もケガ明けだった。それでも、23分にセットプレーからの流れで、岩田智輝の落としをリラックスして放ったミドルシュートは、鋭かった。鳥栖のGK朴一圭に左手一本でかき出されてバーに当たって跳ね返ったものの、喜田らしさが出たシーンだ。

「復帰から時間がたっていないのは事実でした。ただ、ピッチに立つ以上は、コンディションやほかの何かにマイナスの要素があっても、それを言い訳にするつもりは1ミリもありませんでした。体が壊れてでも勝ちにいく姿勢を見せなければ、ということは、今回だけではなく常に思っていることですし、それはピッチに立つ者の責任だと思います。ましてやこのクラブでピッチに立つことがどういう意味か分かっているつもりでいますし、勝ちのために支えてくれる仲間がピッチに送り出してくれるので、その思いに応えない手はありません」

 復帰戦は68分までのプレーとなった。「誰も勝ち点1に満足していない」と話すが、チームをたくましく育む1ポイントになったはずだ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


This article is a sponsored article by
''.