上写真=山根視来は川崎Fでの安定したプレーで日本代表に継続して選ばれている(写真◎スクリーンショット)
「みんなで見つけながら」
「自分の持てるもの以上のことはできない」
そう聞くと、遠慮なのかと思いきや、そうではない。
「だから、自信を持ってやりたいと思います。何としても勝って帰ってきたいと思います」
日本代表に選ばれた山根視来の決意だ。持っている力をそのまましっかり出せば、日本のためになる。その思考の回転がよく分かる言葉だった。
3月24日にオーストラリアとアウェーで戦い、29日にはホームにベトナムを迎える。カタール・ワールドカップ最終予選の最後の2試合だ。オーストラリアに勝てば本大会出場が決まるその大事な場所で、力を発揮する権利を得た。
最終予選ではベトナムとオマーンとのアウェー連戦で大きな活躍を見せたが、続く2試合はベンチ。右サイドバックは主に酒井宏樹との争いになるが、キャラクターが異なるだけに、真っ向勝負というよりは「自分がやってきたことを評価していただいて戦力として選ばれているので、もっとその精度を上げることが大事」と足元を見つめている。
精度を高めていくには、川崎フロンターレでの毎日が大切なのは言うまでもない。今季は鬼木達監督があらゆる面での「スピードアップ」を掲げているが、裏抜けのスピードに長ける山根にとっても、持ち味を出しやすい。ただ、シーズンは序盤。「チームも個人もまだまだだと思います」と満足には至らない。
ただし、スピードという意識に引っ張られすぎることが強みを消すことにもつながる、という認識はある。
「スピードアップに囚われすぎても、チームの一番の良さがなくなるので、そこは使い分けだと思います。みんなで見つけながらやる必要があるし、そうしないと優勝はなかなか見えてきません」
序盤から「優勝」の二文字を中心に据えるのがこのチームらしさだが、これまで培ってきたプレーモデルを生かしながらスピードアップを付け加える微調整は続いていく。そうやって最適なバランスを見つけていく作業そのものが、日本代表の中で自分を生かしきるプレー選択にもつながっていくだろう。