上写真=米本拓司はJ1通算299試合目の出場に。戦う姿勢をもう一度仲間と共有する(写真◎J.LEAGUE)
■2022年3月6日 J1リーグ第3節(埼玉/19,144人)
浦和 2-0 湘南
得点者:(浦)江坂任、馬渡和彰
(湘)なし
「まだ完全にフィットしたと思えていない」
山口智監督が「浦和さんへのリスペクトがありすぎた」と表現した90分。米本拓司は「戦う部分を開始1分から見せ続けないとダメ」と呼応した。J1優勝を目指していて、AFCチャンピオンズリーグにも出場する浦和レッズを前にして、湘南ベルマーレの選手たちはおとなしかった。
16分に先制されてもなかなか押し返せず、山口監督は後半開始から米本と永木亮太の経験豊富な2人のMFを投入して、中盤の強度を高めた。前半は3センターは右から茨田陽生、田中聡、平岡大陽だったが、永木、米本、田中の配置へ。米本はまさにピッチのど真ん中に構えた。
「まずは球際の部分で勝てていない印象があったので、サッカーの本質の部分で上回りたいと入りました」
2人の投入でキックオフから戦う意欲を取り戻した。狙いは「まずはセカンドボールを拾ったり自分たちのボールを作ろうと言われていました。自分と聡と亮太くんが並んで球際で上回ってセカンドボールを拾って2次攻撃、3次攻撃を」だった。浦和も60分に攻撃的な選手を一気に3人投入して、湘南がかけたパワーをひっくり返そうとしてきた。「なかなか相手に勢いがあって難しい状況でした」と、徐々にまた押し戻されていく。87分にはカウンターから追加点を浴びて、0-2で敗れた。
今季、名古屋グランパスから期限付き移籍で加わって、「まだ完全にフィットしたと思えていない」という。それでも、チームのためにの思いから反省はきちんと言葉にする。
「まずはビビらずサッカーをやるのが第一だと思いますし、いいサッカーとか悪いサッカーではなくて、気持ちの部分、戦う部分を開始1分から見せつけないとだめだと思います。それはこのチームの売りでもあるので、練習から出していって、次は上回れるように、僕だけではなくチーム一丸となってやっていかなければいけないと思います」
「みんなボールを自信なさそうに受けているし、もっとサポートしたり基本的な部分を見直して、球際とかボールをもらうこととか、戦術云々よりも気持ちの部分を出さないとJ1という舞台で勝つことは難しい。戦術よりそういうところを出すことを絶対にしてやりたいと思います」
この苦々しい敗戦が、米本にとってJ1通算299試合目の出場で突きつけられた。記念の300試合目には、まさに戦う集団になって心に残る勝利を刻みたい。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE