上写真=知念慶はプレスの高等テクニックを仕込んで先制点を決めた(写真◎小山真司)
「思い切って振り抜いてもよかった」
知念慶が2試合連続弾だ。2月23日の横浜F・マリノス戦で決めた今季初ゴールに続き、26日の鹿島アントラーズ戦で開始2分の電撃フィニッシュ。関川郁万のパスに足を出して奪い、そのまま左足でゴール右に突き刺した。
「あの角度の逆足は自信を持っているんです。奪った瞬間にもう入ったな、という感覚でした」
確かに、左足でボールをブロックしてからそのままの体重移動で、スムーズに左足を振り抜く身体操作の美しさに、コンディションの良さが見て取れる。
近くにいた樋口雄太へのパスコースをあえて開けて関川の視野に入れさせておいて、そこにパスを出させるという仕掛けを組み込んだという。センターバックからボランチへのパスコースを消すプレスを最優先にしながらも、いわば「応用編」として、ちょっとした体の角度によって、消したパスコースを一瞬開けることで相手を誘う、という守備の高等テクニック。だから「狙い通りだった」と、してやったりだ。
横浜FMに2-4で敗れて中2日、連敗は許されない鹿島とのアウェーゲームという難しい一戦に、先発で起用された。「連敗したら本当に嫌な雰囲気になるので、結果を出していい雰囲気に変えてやる」の決意がたくましいプレーにつながった。鬼木達監督も「前からもプレスに行けますし、ボールを収めるという体の強さがあって、なかなかそういう選手がいないのですごく良い働きをしてくれました」と目を細めた。
「去年は特に途中からの出番が多くて、試合の状況によって求められる役割があるという感じでした。今季はいまのところ使われる時間が長くなったので、(鬼木監督には)持ち味を出して得点にからんでほしいと言われています」
出場3試合で2得点とまさに結果を出し始めているが、だからこそこだわりたいのがチャンスを逃したシーンについて。7分に迎えた絶好機を、GKクォン・スンテに止められてしまったのだ。右サイドの素晴らしい崩しから中央に運び、チャナティップがシュート、小林悠に当たって足元にボールがこぼれてきた。今度も左足。
「ちょっとキーパーを見すぎて打ってしまいました。ああいうシーンでは思い切って振り抜いてもよかったといまは思います。1点目は迷いはなかったけれど、2回目はちょっとした迷いが生じたのかな…」
迷いがあるかないかで、ゴールが生まれるか生まれないかが決まる。その原理を改めて教えてもらったこの試合は、2ケタ得点を狙うと公言する今シーズンのこれからに大きな教訓になるに違いない。