　それがさっそく実ったのが、わずか5分のこと。アンデルソン・ロペスが左のエウベルに展開するところで内側から猛ダッシュ、オフサイドにならないように一度減速してからタイミングを見て裏に抜け出した。そこにボールが出てくると、「試合の入りだったので思い切り打った結果、ゴールにつながりました」と得意の左足を振った。ファーに向かって飛んでいく鋭いシュートはGKキム・スンギュに触られたものの、そのパワーによってキャッチされることはなく、こぼれ球をアンデルソン・ロペスが押し込んだ。名刺代わりの「アシスト」だ。

「エウベル選手が必ずあそこにポジションを取ってくれるので、内側からも外側からも割っていけるシーンはありますし、川崎戦では小池（龍太）選手がインナーラップして点になっています。サイドバックとしてはやらなければならないプレーで、走ることで（ボールホルダーに）選択肢を与えられたらと思います」

　4-2で勝利を収めた川崎フロンターレ戦、78分のチーム4点目だ。左の仲川輝人にボールが入るタイミングで小池がインサイドを一気に駆け上がり、仲川はそれをおとりに使ってカットイン、右足で放った美しいミドルシュートが逆サイドのトップコーナーに飛び込んだ。2試合連続で左サイドバックがゴールに絡んでいるから、今年も横浜FMの注目のポジションになりそうだ。

　しかし、この柏戦は残念ながらミスから2失点、退場者も2人出して1-3で逆転負けを喫した。デビュー戦勝利はならず。

「（サイドアタックは）もうちょっと表現できればよかったですし、アクシデントもあってゲームの中での手応えは少ない感じです」

　過密日程で下を向いている暇はないが、だからこそ次のチャンスも短期間で巡ってくるはず。そのときに最高の手応えを得るために、走って走って戦っていく。

取材◎平澤大輔　写真◎J.LEAGU