藤田譲瑠チマが「本デビュー」だ。2月27日の明治安田生命J1リーグ第2節で、横浜F・マリノスは柏レイソルと対戦したが、今季加入した藤田は前半アディショナルタイムに登場。45分以上プレーして、このチームの哲学をピッチの上でしっかりと刻み込んだ。

上写真=藤田譲瑠チマは移籍後、最も長い時間プレーして、横浜FMの哲学を刻み込んだ(写真◎J.LEAGUE)

■2022年2月27日 J1リーグ第2節(三協F柏/8,918人)
柏 3-1 横浜FM
得点者:(柏)細谷真央、ドウグラス、小屋松知哉
    (横)アンデルソン・ロペス

「みんなのために戦おうと」

 2人が退場し、ビルドアップのミスから2失点。横浜F・マリノスがらしからぬ展開で、柏レイソルに1-3で敗れた。気温17.3度の春めく穏やかさとは裏腹に、トリコロールのチームにとっては厳しい内容と結果に終わった。

 攻撃の軸となるマルコス・ジュニオールも前半のアディショナルタイムに負傷でピッチを去り、代わって入ったのが藤田譲瑠チマである。

 東京ヴェルディ育ちで昨季は徳島ヴォルティスでプレー。ボールを大切にするクラブでプレーし続けてきた期待の若手が、その最高峰のクラブの一つに加わった。開幕のセレッソ大阪戦でデビューしているが、ピッチに立ったのは87分からだったから顔見せ程度。この柏戦が「本デビュー」と言っていいだろう。

 ピッチに入った時点で1-1のイーブンスコアだったが、1人少ない状況。「自分が入るまでは最終ラインが4枚で中盤がダイヤモンド、アンデルソン・ロペスが1トップでしたが、自分が入ってからは喜田(拓也)くんと横並びの4-4-1にするようにという指示を受けました」

 畠中槙之輔が35分に退場してから10分ほどは、中盤の底は喜田が一人で担当することになった。しかし、その周辺に空いたスペースをマテウス・サヴィオに自由に使われていた。

「自分としては、みんなよりも出場時間が少ないので、みんなのために戦おうと思っていました」

 藤田が中盤を引き締めて、もう一度バランスを取り戻そうとした。

「自分たちのサッカーは人数が減っても変わらないと、ハーフタイムに選手たちも言い合ったし監督からもそういう話がありました。攻撃の中心としてボールに絡むこと、前から守備することを意識しました」

 このチームの哲学はすっかり染み込んでいるようだ。その通り、慌てずにボールを動かして前進していく。しかし、1人少ない悪影響は時間とともに大きくなっていく。そして、60分にはビルドアップのミスからついに逆転される。

 1点目も同様に、低い位置からボールをつなごうとしたところで引っ掛けられている。修正しなければならない、と思うのが普通だが、藤田の肌感覚は少し異なる。

「外から見ていたら、2失点目は相手が前からプレスをかけてきたと思うかもしれないですけど、フィールド上では相手が疲れていて、そんなにいかなくてもいいという指示が飛び交っていたんです。前半からこちらが相手を動かしていたから、向こうは疲弊してこちらが1人減っても寄せてこなかったという事実もあります。だから、どこを変えたらいいかというところはそんなにないと思います」

 貫けばいい、というのが、横浜FMの選手として45分以上でプレーした実感だ。

 このチームのボランチは今季、喜田、渡辺皓太、岩田が担当してきた。この激戦区に20歳の若武者が食い込むには何が必要なのか。

「いま出ている選手たちは、自分よりアグレッシブにプレーしています。自分には運動量や戦うところはもっと必要だと思っています」

 次の出場機会には、より戦うジョエルが見られるに違いない。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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