上写真＝イニエスタとも堂々と渡り合った柴戸海。一度は逆転となる今季初ゴールも決めた（写真◎J.LEAGUE）
■2022年2月23日 J1リーグ第9節（埼スタ/19,446人）
浦和レッズ 2-2 ヴィッセル神戸
得点者：（浦）松崎快、柴戸海
（神）武藤嘉紀、槙野智章
「アイディアの一つをイメージ通り」
劣勢を引っくり返したのは、「有言実行」の男だ。10分にヴィッセル神戸に先制されながら、12分に松崎快が移籍後初ゴールを決めて浦和レッズが同点とした、その7分後だった。今度は柴戸海の出番。
初先発の大畑歩夢が攻め上がって獲得した左からのCK。馬渡和彰が蹴ったボールをニアで明本考浩が左足を高々と上げてフリック、ゴール中央に飛んでくる。神戸のゾーンディフェンスの外側、ファーサイドに立っていた柴戸には誰もマークについてこなかった。酒井高徳が慌てて飛びつくものの、その前でヘッドできっちりと送り込んで、あっという間に逆転したのだ。
「ゴールに向かうプレー、得点やアシストを意識しています。セットプレーは練習していたし、アイディアがある中の一つをチームとしてイメージ通り出せました。そこにチームとしての準備がありました」
トレーニングの成果がはっきり現れたこの一発が、柴戸にとってはJ1での通算4ゴール目だ。2018年は12月1日の最終節、FC東京戦で決めて、19年はゴールはなく、20年は9月13日の第16節北海道コンサドーレ札幌戦、21年は6月23日の第19節柏レイソル戦でマークした。つまり2月23日に決めた今季初ゴールが、プロキャリアでシーズンにおける「自分史上最速」を大幅に更新する一発になった。まさに「ゴールに向かう」の言葉を体現してみせたのだ。
貴重な逆転ゴールだったが、昨季までの仲間、槙野智章に87分に決められて、最後の最後に2-2に追いつかれて試合終了。58分に明本が退場して攻められ続けて、最後に力尽きた、という格好だ。
「サイドから中に蹴ってくるプレーをしてきたので、中のマークを含めてスペースを与えないこと、ボールに競りにいくことは共有はできていましたが、一瞬のスキを突かれました。1人少ないので、ボールホルダーにプレッシャーがかからない中で、マークが一瞬外れたのは今後の課題だと思う」
ただ、柴戸は数的不利だったことに最大の原因を求めていない。
「11人いたとしても、ああいうプレーは起こりうるので、人数より立ち位置や中を分厚く守ることは人数に関係なくしっかりやっていかないといけないと思います」
リカルド・ロドリゲス監督は「神戸のようなチームに負けない試合も大事です。勝ち点1を拾えたと思います」と落胆ばかりではなかった。開幕戦で京都サンガF.C.に敗れているから、連敗を阻止したとも言える。だから柴戸も「自分を含めて、みんな持っているものは出せたと思います。これからもっともっとレベルアップして、強い浦和を見せたいと思います。まだ勝利はないので、次のガンバ戦で勝ち点3を取れるように頑張りたい」と前を見るのだった。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE
