2月18日、明治安田生命J1リーグの開幕戦は見応えたっぷりの90分だった。川崎フロンターレがFC東京を迎えた「多摩川クラシコ」で、FC東京の驚きの変貌を食い止めたのが、守護神チョン・ソンリョン。今年も仁王立ちだ!

上写真=チョン・ソンリョンはスーパーセーブの連発で勝利に導いた(写真◎小山真司)

■2022年2月18日 J1リーグ第1節(等々力/17,544人)
川崎フロンターレ 1-0 FC東京
得点者:(川)レアンドロ・ダミアン
    (F)なし

「全員で勝ち取った勝利」

 2022年もチョン・ソンリョンがゴールを許さない。

 FC東京を迎えた2月18日の開幕戦。鮮やかな攻撃サッカーに変貌した相手に、一つ間違えば厳しい敗戦を突きつけられたかもしれない。間違えなかったのは、チョン・ソンリョンがいたからだ。

 24分に左にきれいに展開されて、レアンドロにフリーで狙われるが、これをストップ。4分後の松木玖生、38分のエンリケ・トレヴィザンのミドルシュートも危なげなく弾いた。51分にはカウンターから抜け出してきたレアンドロとの1対1をまたも制してブロックした。

「FC東京の前線の3人は本当に速い。1対1になるだろうというイメージもありました。でも、自信もあったので、体が反応したというところです」

 81分に川崎フロンターレがレアンドロ・ダミアンのゴールで先制したあとは、FC東京がさらに攻撃のギアを上げてきた。鬼木達監督は割り切ってプレーさせることを厭わなかった。アディショナルタイムにもペナルティーエリア内で青木拓矢に狙われたが、これもかき出した。まさに門番。

「最善を尽くして、チームのために全員で勝ち取った勝利だと思う」

 守護神はまず仲間に感謝したが、鬼木監督も最後まで体を張ったすべての選手たちを称えた。その最後の砦がチョン・ソンリョン。

「守備ではまだまだ成長できるところもあるし、完璧ではないが、スーパーカップでの反省をして、監督が求めるように勝ちながら成長するというのを追求していきたいと思います」

 スーパーカップでは浦和に0-2で敗れたし、この開幕戦でも攻守ともに不格好なところはある。FC東京が新しいフットボールを仕掛けてきて、主導権を握られた時間も長かった。それでも勝った。

「まだ公式戦2試合目で(リーグ)開幕戦。ウチには力があると思います。全員で準備をして、その力が出せるように全力を出すだけだと思っています」

 一喜一憂しない。そんなチームの強さを示す、静かな言葉だった。

取材◎平澤大輔 写真◎小山真司


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