川崎フロンターレのこの冬のビッグディールが、北海道コンサドーレ札幌から獲得したチャナティップ。2月12日の富士フイルムスーパーカップ2022で先発して、「川崎Fデビュー」を果たした。「プレーが硬かった」という自己評価で、チームへの融合はこれからという印象だった。

上写真=チャナティップは2つのポジションでプレー。後半は盛り返したが…(写真◎小山真司)

■2022年2月12日 富士フイルムスーパーカップ2022(日産ス/18,558人)
浦和レッズ 2-0 川崎フロンターレ
得点者:(浦)江坂任2
    (川)なし

「自分らしいプレーができなかった」

 ブルーのユニフォームで戦う最初の試合は、満足のいくものではあり得なかった。

 北海道コンサドーレ札幌からチャンピオンチームに加わったチャナティップは、77分間のプレーを終えて「まだチームに入って間もないので、慣れていませんでした。プレーも硬い感じがしました」。振り返る表情も硬かった。

 前半は左ウイングで、後半は左インサイドハーフでプレーした。鬼木達監督が明かした狙いは「経験」である。

「ポジションはいろいろと経験を積んでもらっているところです。多くのポジションで生きることができるように。もちろん、この試合でも勝ちを求めながらのところはありますから、すべてがうまくいったとは言えませんが」

 前半のウイングのポジションでは、パワーとスピードを誇る日本代表の酒井宏樹と対峙するが、縦に勝負しきれなかった。インサイドハーフでよりゴールに近い場所に立った後半は、アンカーに下がった大島僚太や左サイドバックの登里享平、左ウイングのマルシーニョらと関わり合いながら、細かくポジションを変えてアクセントを加えたが、浦和の堅陣に穴を開けることはできなかった。

「自分らしいプレーができなかった」というのが、チャナティップの実感だ。

「前半は自分らしくないサッカーが続いていて、硬さが出たと思う」

 後半にポジションを移して改善した。

「後半に入ってからは、より自分らしいサッカーができたとは思います。徐々に時間が経つにつれて自分らしいサッカーができるようになって、チームメートもやりやすくなったと思います」

 ポジションの違いもあるが、前半は硬さだけが理由だったわけではないという。

「周りを見る中で、チームメートを見すぎて相手を見ることができなくなってしまいました。自分のストロングポイントはボールをもらってターンして配球していくプレーですけど、今日に限っては相手が見えていなかったことが一つの原因だと思います」

 同じことは、鬼木監督も指摘している。

「トレーニングの中から2つのポジションをやってきましたけど、今日は他の選手と一緒で、味方を意識するあまりに距離が近くなって、近くなることが悪いわけではありませんけれど、裏に出ていく作業や前線に絡む作業はワイドでもインサイドハーフでも必要なことです。そこは積み重ねてやっていくしかない」

 うまくはいかなかった。でも、リーグ戦が開幕する前に、強度の高い浦和を相手にプレーできたことはポジティブにとらえることもできる。

「チームコンセプトがある中でも、自分らしいサッカーができないとすべて終わってしまいます。今回の試合を通して、より自分らしいサッカーを見せればもっともっといいプレーができると思います。来週もそこにフォーカスしていきたい」

 開幕戦はFC東京が相手だ。仲間を見すぎずに相手を見る。わずかな時間でも課題を克服する力を試されている。

取材◎平澤大輔 写真◎小山真司


This article is a sponsored article by
''.