名古屋グランパスの長谷川健太監督が沖縄でのキャンプを終え、取材に応じた。チームは新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時活動休止となった。予定のすべてを消化できず、チームづくりの再考を余儀なくされたなかで指揮官は何を感じ、考えていたのか。心境を語った。

上写真=全体練習を再開できたのは5日。開幕まで時間は限られるがしっかり準備すると長谷川監督は語った(写真提供◎N.G.E.)

12日の磐田戦でチェックしたい

 新型コロナウイルスの影響は大きかった。罹患者が出たことでチームは一時、活動を休止。選手も隔離期間を過ごすなど、活動を制限された。長谷川監督は選手が陽性判定を受けたときの心境について「1日でも早く治ってほしいということと、それ以上に感染者が出ないことを祈るしかなかった」と振り返る。そして「現状でやれることを、リモートでも少し体を動かすなどはやっていました。一昨年の、最初の緊急事態宣言が出て、Jリーグが止まった時のような感じでした」と思いを語った。

 長谷川監督は2022シーズンから名古屋の指揮官に就任し、今回のキャンプは自身のコンセプトを伝え、チームに浸透させる上で極めて重要な機会だった。1月末に活動休止となり、陽性者を除いて全体練習が再開したのが2月5日。その貴重な機会が大幅に失われることとなったが、指揮官はコーチ陣でリモート会議を行なうなどして、いかに開幕に向けてチームをつくっていくのかの議論を重ねていたという。「ざっくりとチームのやるべき戦いというところを落とし込まないと、時間的に間に合わなくなると思ってはいました。コーチ陣ともリモートで、再開したときにはどのような形でトレーニングをすればいいのか話していました」。

 Jリーグ開幕は19日(vsヴィッセル神戸)。およそ1週間後だ。「やれることを最低限は(キャンプで)やったつもりではいます。あとは磐田戦(12日の非公開の練習試合)が何とかやれるというのが一つ救い。そこに向けての準備をして、また課題が出れば、チェックをして、時間はないんですが、1週間の中で少しでも良いトレーニングができるようにやっていきたい」。活動休止により、キャンプ中に組まれていた練習試合は4試合のうち1試合しか消化できなかった。磐田戦は現在地を図る意味で極めて重要な意味を持つことになった。

 経験豊富な長谷川監督でも今回ほど時間のないキャンプは初めてかもしれない。それでも「30歳前後の選手たちも多いので、非常に理解力が高いと感じました。こちらが言って、意図を汲んで動いてくれる。その意味で非常にやりやすいと思っています」と選手たちの取り組みについてポジティブに語っている。そしてサポーターに向けてコメントを求められると「何とか開幕に間に合わせるようにここから急ピッチで仕上げていきたいと思っていますので、ぜひ楽しみにしていてください」と前向きな言葉を口にした。

 2年前、FC東京の監督時代に長谷川監督はACL出場に伴い、過酷な連戦を経験した。当時、繰り返し語っていたのは「この状況を経験したチームと選手は強くなる」ということだった。果たして連戦ののちに迎えたルヴァンカップ決勝で柏レイソルに勝ち切り、見事優勝を成し遂げた。

 長谷川グランパスは難しいシーズンのスタートを切ることになったが、一時活動休止も、できることをやり切り、その歩みを止めることはなかった。開幕に向けて、一歩、また一歩と着実に前進している。


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