上写真=チョウ・キジェ監督が沖縄キャンプを前に新シーズンへの意欲を明かした(写真◎スクリーンショット)
「京都サンガグループ」を発信
1月8日に始動し、17日からは沖縄キャンプ。京都サンガF.C.が12年ぶりのJ1に向けて、動き始めている。
開幕戦は2月19日か20日だから、およそ1カ月後には浦和レッズをホームに迎えてシーズンがスタートする。チョウ・キジェ監督は「何人が京都の勝ちを信じているか、いまの段階での予想を見ていると、うちのほうが少ない」と苦笑いだ。浦和はチョウ監督の古巣でもある。
「でも、その場合は12人にして戦いたいと思います」
いつものユーモアがあふれるが、その裏には「それぐらいの試合をしないといけない、ということですよ」の本気がある。一人ひとりのパワーを増して「プラス1」のパフォーマンスを見せなければ勝てない、という意味だ。
そのために、1月17日から始まる沖縄キャンプが重要になる。選手個々に面談を行って、意見を交わすもの昨年と同じ。
「監督の頭の中は選手にクリアになったほうがいいんです。隠すものではないし、早く伝わって全体のレベルが上がり、今年のサンガに期待してくれている人たちに早くプレーを見せたいと思って練習することが大事ですから」
自らの考えをフルオープンにする意味も込められた面談はキャンプ前から始めていて、選手たちの1年前からの成長をひしひしと感じているという。
「去年とは全然違いますね。大人になったというか、話す内容もプロっぽくなったと言ったら失礼ですけど、プロフェッショナルとしての自分という観点を持つことができています。今年はそれほど多くを言わなくていいなという感じです」
土台を築くとはこういうことを言うのだろう。だから2022シーズンはその上に「オリジナル」を積み上げていくのだ。
「これまではどこかのチームをベンチマークにして当て込んでいましたが、今回のオフはそれが頭に入ってこなくて。なんでかなと思ったら、いろいろな意味でサンガのオリジナルをつくらなければなと」
自身の故郷である京都という街にあるクラブだからこそ、つくり上げるべき姿があるのではないか、と感じたという。
「この時代に高級ホテルが新しくできるように世界が京都に注目していて、神社仏閣がたくさんあって、この街に期待して『生きている感』があります。そういうことを引き出すサッカーをするには、自分もオリジナリティーを出さないといけないと思ってやっています」
京都サンガF.C.が、京都サンガF.C.であるべき理由。それを示す姿を追い求めていく。
「サッカーの考え方ですよね。そこは統一しなければいけない。ヨーロッパでレッドブルのグループがライプツィヒを中心にありますけど、京都サンガグループというか、そういうものを発信できたらいいですよね。例えば京都の高校や中学も目指してくれるようなサッカーができたらいいじゃないですか。そういうところにも波及するものにしたいですね」
今年のチームスローガンは「S Adventure」だ。「Sanga」のSであるのはもちろん、「SPIRIT」「SURPRISED」「SUCCEED」の意味が込められている。魂、驚き、成功。
これからのシーズンで、どんな魂を込めた戦いを見せて、驚きをもたらし、勝利を手にするか。チョウ・キジェ監督自身も目を輝かせながら、新たな冒険に燃えている。