上写真=吉尾海夏の言葉からは大きな自信がにじみ出る。10得点10アシストが目標だ(写真◎サッカーマガジン)
「14」と「10&10」
「お前には期待しかしてない」
贈られた最高の言葉には、ずっしりとした重みがある。
FC町田ゼルビアへの3年の期限付き移籍を終えて、MF吉尾海夏が横浜F・マリノスに帰ってきた。背番号は14。2021シーズンまで天野純が背負っていたナンバーだ。
その天野は1月8日、韓国の蔚山現代FCに期限付き移籍することを発表した。
「自分にとって特別な番号でしたし、小さいときから、そしてトップに上がってからも、純くんの背中を見ていたので、次につけさせてもらいたい思いが強くてお願いしました」
同じ左利き、同じ横浜FMのアカデミー育ちで、7歳年上の先輩に、吉尾は憧れを隠さなかった。だからこそ、14を受け継ぎたくて、天野に連絡をしたという。
「純くんのあとにつけるのは重みのある番号ですし、責任感も必要だと思います。それでも純くんのあとにつけたくて事前に純くんには連絡して、つけさせてくださいとお願いしました。快く、お前には期待しかしていないからと言ってもらえました」
14という数字とともに、その言葉が吉尾の道を照らすことになるだろう。
町田では2021シーズンに10ゴール10アシストと確かな結果を残した。右サイドハーフとして主にプレーして、左足を駆使したカットインからのパス、シュートを磨いてきた。それがJ1でも最大の武器になる。
「レンタルして定期的に試合に出続けることができて、去年は10ゴール10アシストと目に見える結果を出せました。行く前とは比べ物にならない自信をつけて戻ってくることができたと思います。この3年で学んだことをピッチで表現して、でも去年の結果に満足していないのでそれ以上できるように、タイトルを獲得できるように頑張りたい」
「10&10」という数字は、2022シーズンの目標にもなる。
「ゴールとアシストにこだわって、ボールを持ったらなにかしてくれるだろうと思われるような選手になれるように、今年も10ゴール10アシストを取れるように頑張ります」
横浜FMには多くのハイクラスな攻撃陣が顔を揃える。だが、そこに割って入っていく自信がみなぎる。
「ポジションを取るのは誰が見ても厳しいチームです。でも、自信がなければ戻って来ません。壁をしっかり越えて、このチームでタイトルを取りたい」
それが天野への最高の恩返しになる。