上写真=渡邊凌磨は気持ちを全面に出すプレーでファン・サポーターにアピールしてきた(写真提供◎FC東京)
「僕の長所でもあり短所でもある」
FC東京に移籍して最初のシーズンが終わろうとしているいま、渡邊凌磨は「心」がプレーにまっすぐに現れる選手だとファン・サポーターも頼もしく感じているだろう。
「良くも悪くも僕の長所でもあり短所でもあるんですけど」と話したのが、その気持ちのこと。「一概には言えないかもしれないけれど、やってやろうという気持ちを全面に押し出してきたつもりです。難しいけれど、そういう気持ちは大事だと思います」と力説する。
11月6日の第35節横浜F・マリノス戦で0-8と惨敗。これを受けて長谷川健太監督が辞任、森下申一監督が残り3試合での指揮を執っている。だが、渡邊凌磨に動揺はないという。「これまで1シーズンを同じ監督の下でやったことがないですから」とプロの世界の厳しさはその身に染み込んでいる。
「(優勝や降格など)何もかかっていないところでモチベーションを保つことは、自分に言い聞かせてきました。そういうところを大事にしたいと思ったからこそ、この前の試合はもっともっと周りも自分もやらなければいけなかった」
森下監督の初陣となった徳島ヴォルティス戦は、0-2で敗れた。リーグ戦では今季初めてフル出場を果たしたが、「90分を通して攻撃も守備もいい形でできなかった」「もっとやらなければいけないという言葉に尽きる」と悔やむ。「でも、戦術どうこうというわけではなくて、一人ひとりの気持ちが強ければ勝てた試合だと思う」と自分たち自身に強い矢印を向けている。
J1では36試合を終えた時点で、15試合出場2得点。開幕スタメンを飾りながら、3月に左第五中足骨骨折という重傷で手術して離脱、そして8月にようやく復帰と、平坦な道のりではなかった。「2点しか取れていないので、そこに関しては反省点は多いと思います」と振り返りつつも、経験のないサイドバックを右も左もこなすなど、ピッチに立つためであればどんなことでもやっていく意志を、言葉ではなく行動で示してきた。
「いろいろなポジションができたほうがいいと思うし、自分の良さでもあると思います。専門でやっている人よりうまくできるようになれば、必ず武器になりますし。やりたいポジションもないし、いろいろとできるに越したことはないですから、そういう意欲は当たり前のことだと思っています。機会があれば進んでやっていきたいですね」
そんなオープンな姿勢でプレー機会を獲得してきた。残りはアウェーのサンフレッチェ広島戦、ホームのアビスパ福岡戦の2試合だ。「内容はどうでもいい。結果だけ出せれば」という「気持ち」を、これまで通りピッチで表現するだけだ。