川崎フロンターレのキャプテンとして、谷口彰悟はリーグ連覇を成し遂げたチームの先頭を走り続けた。4試合を残して勝ち点で13もの差をつけての戴冠で威風堂々と思いきや、「ギリギリの優勝だった」と本音を明かす。さらに強いチームへ、の欲がそう言わせるのだ。

上写真=谷口彰悟がキャプテンとしてシャーレを掲げる。昨年の優勝決定の試合は出場停止だっただけに、喜びもひとしお(写真◎小山真司)

■2021年11月3日 明治安田生命J1リーグ第34節(@等々力/観衆11,603人)
川崎F 1-1 浦和
得点者:(川)ジェジエウ
    (浦)酒井宏樹

「苦しみながら、我慢強く」

「順調そうに見えたシーズンだったと思いますけど…」

 昨年に引き続き、J1で優勝を成し遂げた川崎フロンターレを引っ張ったのは、谷口彰悟である。誰もがうらやむ最強チームの最強キャプテン。だが、このあとに口にしたのは、少し意外な本音だった。

「ギリギリのところで戦って勝ちに持っていった結果の優勝なのかな、と」

 4試合を残しての優勝は昨年同様。積み上げた勝ち点は昨年の83に比べて、同じ34試合時点で85と2ポイント上回る。2位との勝ち点差は13。

「勝ち点の数や積み上げ方を見ると、良い結果だったとほかからは思われるだろうな、と。でも、やっている選手は一戦一戦、必死でギリギリのところで負けるか勝つか引き分けるかでやっています。その積み上げ方の感覚が、昨年とは違います。苦しみながら、我慢強く戦い続けた結果だと思っています」

 噛みしめるように語る言葉に、重みがある。鼻歌まじりの優勝などありえない。

 我慢強く戦い続けることができた根底には「競争」がある、というのが谷口の実感だ。もちろん自身もそう。今季は負傷で5週間ほど離脱、その間に「競争相手」のジェジエウ、車屋紳太郎、山村和也が出場して戦い抜いてきた。競争があるからレベルが上って、チーム力が高まっていくという厳然たる真理を改めて感じている。

 振り返ればやはり、ルヴァンカップ準々決勝とAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のラウンド16で、どちらも敗退の憂き目にあった傷が目につく。特に「ものすごく力を入れていて、取りたいタイトルだった」というACLで敗退したことが、「自分たちの力不足」をあぶり出した。谷口はその間、負傷で不在だったが、だからこそ、もっと競争を、の思いに至る。

「まだまだ競争のレベルを上げていけるチームだと思っています。そこにこだわりながら、もっともっと強いチームになっていきたい」

 2021年はリーグ戦で4試合が残っていて、続いて天皇杯準決勝が、勝ち抜けば決勝が待っている。そして、2022年はリーグ3連覇とACL制覇に挑んでいく。

 そのためにも、もっともっと競争を。究極の勝利のために、キャプテンの競争本能はさらに高まっていく。

取材◎平澤大輔 写真◎小山真司


This article is a sponsored article by
''.