上写真=西川周作は1失点はしたものの、川崎Fを相手に渡り合う手応えも感じていた(写真◎小山真司)
「流れの中での守備は明確にできた」
自分たちは確かに成長している。最後尾から見ていて、浦和レッズの守護神・西川周作はそう感じていた。王手をかけて優勝を決めに来ている川崎フロンターレを相手に、前半は特に相手陣内に押し込んでプレーする時間は短かったものの、それでも不安はなかった。
「自分たちができるところ、通用するところも試合をやりながら感じることができました。自分たちのミスからの切り替えも早かったと思います。相手も本当に切り替えという部分では早かったですし、非常にコンパクトな守備でした」
切り替えの早さを重視するのはお互い様。そこでの奪い合いで「前半は我慢の時間帯もありました」と冷静に振り返るが、「その中でもしっかりとコンパクトに守りながら、流れの中での守備は明確にできました」と、ビルドアップからのパスワークによってゴールを割られなかったことを手応えに感じていた。
ただ、セットプレーからは1失点。ゴールを預かる立場としてはうれしいわけはない。しかし、切り替えの早さが生きるのは、頭の中でも同じこと。
「セットプレーの流れからでしたが、こういう1点勝負の試合でのセットプレーの重要性は理解していました。失点してからも、守備陣としてはこれを『1』で終わらせるということだけを意識しながらリスクマネジメントしていました」
その意識の転換が、後半の逆襲へとつながる布石になる。
「勝ちにいく姿勢を最後まで貫き通せた結果、引き分けで勝ち点1を持ち帰ることができたんじゃないかと思います」
先制されても、目標とする3位の座を手に入れるためには、下を向いている時間はなかった。後半に徐々に押し戻す時間が増えていき、89分についに酒井宏樹が同点に。1-1にしてなんとか勝ち点1を持ち帰ることになった。
勝てなかったが負けなかった。それでも、ヴィッセル神戸、名古屋グランパス、鹿島アントラーズと3位争いのライバルたちはすべて、この日に勝利を収めている。浦和は順位も6位に後退した。ここからは、その鹿島とのアウェーゲームのあと、ホームに戻って2位の横浜F・マリノス、残留争いの渦中にあって難しい相手になりそうな清水エスパルスと戦って、最終節は名古屋とのアウェーゲームだ。過酷なバトルが続くが、3位争いの直接対決を2つ残しているのはチャンスでもある。
そして、そのあとには天皇杯が待っている。12月12日の準決勝ではセレッソ大阪と戦う。ルヴァンカップ準決勝で敗れたリベンジマッチだ。そして、ここを突破したとき、川崎Fが準決勝で大分トリニータに勝てば、19日の決勝でもう一度戦えることになる。
川崎Fとは今季はホームゲームで0-5の大敗を喫したものの、ルヴァンカップ準々決勝では1-1、3-3で、この日のアウェーゲームで1-1。次こそ勝利をつかみたい。
取材◎平澤大輔 写真◎小山真司