上写真=5月の鹿島戦で劇的勝利を収めて鬼木達監督もこの表情! 天皇杯準々決勝でも喜びたい(写真◎J.LEAGUE)
「自分たちのどこが危険なのかは理解している」
リーグ戦と一発勝負のカップ戦では、監督のマネジメントにも変化が表れる。天皇杯準々決勝の鹿島アントラーズ戦を前にして、鬼木達監督もメンバー選考に思考を巡らせる。
「相手との相性や、120分まで戦う覚悟で勝っていくことを考えて、メンバーを選びたいと思っています」
引き分けがなく、延長戦、PK戦も見据えた選手をセレクトする。負ければ終わり。連覇を掲げるチームにそれは許されない。
しかも、相手は鹿島だ。その勝負強さ、したたかさ、心と体の強靭さ、どれをとっても憎らしいぐらい強い。ただ、鬼木監督がプロキャリアを始めたクラブだから、そのDNAはこちらにも息づいている。
「バトルを制すると主導権が取れる」
鹿島との戦いでは常にそれが最大の分かれ目だ。
鹿島は直近のリーグ戦でFC東京を2-1で下している。相馬直樹監督は、序盤から早いタイミングで相手陣内にボールを送り込んでから、できるだけ高いエリアでプレーしようとする戦いを授けて2点を先行し、逃げ切りに成功した。
「長いボールは印象としてはもともと多いと思っています」
鬼木監督は織り込み済みだ。
「前へ前へというサッカーは、鹿島だけではなくフロンターレでも町田でも相馬さんが意識されているものなので、全面に出してくる印象です」
かつてはチームメートとして、あるいは監督を支えるコーチとして共闘した「仲間」だからこそ、わかることがある。
今季はすでにリーグで2度の対戦を終えていて、どちらもスコアは2-1。しかもいずれも、アディショナルタイムに決勝ゴールを決める劇的勝利だった。
「できれば、劇的な形ではなくて主導権を握っていきたいんですけどね」
そんな苦笑いもこぼれたが、その2試合で気になったのは、いわばカオスを作り出してくるようなロングパスと肉弾戦、だけではないという。
「鹿島は前回の対戦で狙いを持って攻撃してきて、その手応えは感じていると思います。でも、自分たちのどこが危険なのかは理解しているつもりです。そこを考えながらも引っ張られすぎずに、自分たちらしさを出していきたい」
それがどんなことなのか、どう対応していくかはもちろん口にしないが、「強気でいきます」の言葉がヒントになるだろうか。
とにかく、激闘に次ぐ激闘になることだけは間違いない。魂を削り合うような決戦が、間もなく始まる。