上写真=マスカット監督が重視するコンビネーション。誰と誰を組み合わせる?(写真◎J.LEAGUE)
「恐れることなく大阪に向かいます」
首位の川崎フロンターレに9ポイント差で食らいつく横浜F・マリノス。湘南ベルマーレ、北海道コンサドーレ札幌を連続でたたいているが、この連勝に共通するのはとても苦しい試合だったこと。どちらも相手に主導権を明け渡す時間が長くなり、圧力を受け止める展開が続いた。
「Jリーグはレベルが高く、どのチームとの戦いも簡単ではありません」
この夏に横浜FMを率いたばかりのケヴィン・マスカット監督は繰り返し、初体感となるJリーグのレベルに感嘆する。「素晴らしいレベルのリーグなので、このタイミングになっても消化試合になることがない」が率直な印象。シーズンも終盤に差しかかる時期でも順位の変動も激しく、湘南や札幌という中位以下のチームであっても2位チームとがっぷり四つに戦う力がある難しさを感じている。
そんな彼らに対して、決して褒められた内容ではなくても、勝ち切ることができたのは大きい。一時期の勢いは静かになったものの、困難なゲームをものにするしぶとさは王者を追い詰める者が持つ確かな資格だろう。
マスカット監督としては、多くの負傷者を抱えながら、選手の好不調の波を見極めてなんとかマネジメントしてきた。その姿勢は残り6試合も変わらない。
レオ・セアラが4試合ゴールから遠ざかる一方で、杉本健勇が札幌戦で同点ゴールを決め、前田大然も3試合連続ゴールで得点ランクトップ快走中。FWの競争は激しい。
次のセレッソ大阪戦に向けては、トップ下のポジションでマルコス・ジュニオールが出場停止、天野純が別メニュー調整中。そこで、渡辺皓太の起用のほかにも、札幌戦同様に杉本の1.5列目で起用する可能性も示唆した。
右サイドの組み合わせも、湘南戦の「小池龍太+エウベル」から札幌戦では「松原健+仲川輝人」に変えている。札幌戦ではセンターバックで先発した岩田智輝を後半からボランチに上げ、さらに勝負をかけて水沼宏太と杉本を投入した74分からは中盤をダイヤモンド型に組み直して逆転まで持ち込んだ。
「コンビネーションの部分は大事にしています。最終ライン同士もそうですし、サイドでの前と後ろの関係性も大事です。ケガの状態や出場停止などを含めて、次のセレッソ戦にどういう選手がいいのかを考えていきます。フレッシュな選手もいますし、試合へ向けていい状態の選手もいます」
選手の特徴を組み合わせることで生まれるパワーこそが、総力戦を戦い抜く源だ。
「いろいろな選手がいろいろなポジションでプレーすることができます。それぞれでキャラクターが違うので、異なる形での面白さを出してくれます。いろいろな考えを持って決めていきたいと思います」
どんな選手が、どんな組み合わせで、どんなケミストリーを生み出すのか。
「恐れることなく大阪に向かいます。セレッソをリスペクトして、しっかり戦うことを楽しみにしています」
マスカット監督の手腕にも大きな注目が集まる。