上写真=山中亮輔がクロスを蹴り分けて何度もチャンスを作った(写真◎J.LEAGUE)
■2021年10月16日 明治安田生命J1リーグ第32節(@埼玉/観衆10,233人)
浦和 1-1 G大阪
得点者:(浦)江坂 任
(G)パトリック
「フリーでボールを受けて相手が寄せ切る前に」
サッカーでは内容とスコアに必ずしも均衡が取れるとは限らないが、1-1のドローでも少なくとも浦和レッズの左サイドの攻撃はとても機能していた。その中心にいたのが、山中亮輔。
すでにルヴァンカップでは負傷から復帰していたものの、リーグ戦では7月3日以来、およそ3カ月半ぶりのピッチになった。キックオフから面白いように攻撃を仕掛けていって、「個人としてはキックのフィーリングも良くて、狙ったところにきちんと蹴ることができていました」の言葉通りにパスが冴えた。
8分に江坂任へのニアゾーンへの斜めのパスでチャンスメークすると、12分には逆サイドから入ってきた関根貴大に合わせる高速クロス、16分にも明本考浩のフィニッシュを導き、39分にはマイナスにていねいに戻して江坂の決定的なシュートにつなげている。後ろから持ち出してくるアレクサンダー・ショルツ、インとアウトのすみ分けをする「相棒」の汰木康也、神出鬼没でサポートしてくれる江坂と、周囲との関係性も滑らかだった。
「相手の4-4-2というシステムも大きくて、どこに立ち位置を取るかも、スカウティングや練習からやっています。立ち位置で先手を取れているのは大きいと思いますし、それによってフリーでボールを受けて相手が寄せ切る前に良いクロス上げられているのは大きいです」
圧倒的に攻め込むことができたのは、やはり正しいタイミングで正しい場所にポジションを取ることができていたから、という自信に満ちている。前向きでボールを受けて、自慢の左足の前にボールを置く、という準備に費やす時間が十分にあるということだ。ニアに、ファーに、鋭く、滞空時間を長く、など、クロスの種類や場所を使い分けてチャンスを作っていった。
だからこそ、リズムに乗っているタイミングで仕留めたかった。
「チームとしてもやりたいことはだいぶ表現できていたと思いますし、前半はほぼワンサイドゲームで、あとは得点というところだけでした」
「良い時間帯に点が取れないと、やっぱりこういう難しいゲームになるなという試合でしたね」
アディショナルタイムに江坂任が決めたPKでようやく先制しながら、直後にPKで同点とされる結果には、あれだけチャンスを作り続けただけに、やはり素直に認めるのは難しい。ただ、できることはとにかくチャンスの数を増やすことだという自負がある。
「自分の存在価値を証明するためにも、続けていかなければいけないと思います」
パワフルな左足がこのチームに戻ってきたインパクトは、やはり大きい。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE