上写真=先制ゴールを決めたユンカーはそれ以外にも、52分のこのシーンなどゴール前で危険な場所に入って脅かした(写真◎J.LEAGUE)
■2021年10月6日 JリーグYBCルヴァンカップ 準決勝第1戦(@埼玉/観衆8,734人)
浦和 1-1 C大阪
得点者:(浦)キャスパー・ユンカー
(C)山田寛人
C大阪が「ゾーンを捨てて人に行く」
スコアはあっけなく動いた。12分、浦和レッズが左に展開し山中亮輔が得意の左足でニアサイドにボールを送り込む。そこに、キャスパー・ユンカーが入ってきて、体を開いて右足でプッシュ。ホームチームが難なくネットを揺らした。
セレッソ大阪からすれば一瞬でゴールを割られた格好だが、センターバックの2人の間に進入してきたユンカーを捕まえきれなかったミスを突かれた。
その後も浦和がゆっくりとボールを保持しながら、無理なく時間を進める展開。C大阪はなかなかボールを奪い返せずに難しい時間を過ごした。しかし浦和もゴールに近づくものの決定機は迎えられず、C大阪も39分に山田寛人が迎えたビッグチャンスも至近距離からのシュートをGK鈴木彩艶がコースを読み切ってストップ。
ハーフタイムに小菊昭雄監督が「思い切ってゾーンを捨てて人に行くところを増やそう」と守備のバランスを微調整して送り出したC大阪は、後半は開始からきびきび。56分には2トップが立て続けにビッグシーンを迎えている。左からの丸橋祐介のクロスにニアで加藤陸次樹がヘッドで合わせ、続けて右からの乾貴士の折り返しに山田寛人が右足を伸ばした。これがどちらもバーに弾かれるという不運に見舞われた。
C大阪に押し込まれてテンポの出ない浦和は、60分に3人同時交代で勝負に出た。しかし、その効果が出る前にC大阪に同点とされてしまう。
66分、C大阪は右サイド深くに運んで坂元達裕が得意の切り返し、かと思ったが、そのまま右足でセンタリング。虚を突かれたのかボールはそのままゴール前を素通りして、その先にいた山田が無人のゴールに流し込んだ。
このあと浦和は73分に田中達也を投入。C大阪は74分にはまたも加藤のミドルシュートがバーに阻まれるアンラッキーがありながらも、76分に西川潤と松田力を入れて2トップを入れ替えて、それぞれゴールへの意欲を失わずにオープンな展開になった。しかし、これ以上はスコアは動かなかった。
「1-1の結果は悪くはない」とは浦和のリカルド・ロドリゲス監督。3度、バーを直撃したピンチに失点しないで済んだからだ。「悪い時間があったのは事実」と認めつつ、「前回のフロンターレとの対戦のときと似ているので、次はしっかリ勝ちたい」と、準々決勝でホームで引き分けながらも、アウェーゲームで終了間際に3-3として劇的に勝ち抜きを決めた勢いをなぞって決勝進出を決めるつもりだ。
もちろんそれは、C大阪も同じ。小菊監督も「アウェーゴールを奪って勝ち点を大阪に持ち帰るという目標で、結果的には勝てずに残念ですが、点を取って勝ち点を持ち帰れるのでポジティブにとらえています」と納得のドロー。「必ず次はホームで勝ってファイナルに進みたいと思います」と意欲を高めた。中3日で迎える第2戦が楽しみだ。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE