上写真=谷口彰悟がジェジエウとハイタッチ、その向こうで仲間が喜ぶ。復帰戦で「まだ体は思ったとおりに動かせない」が、劇的な逆転勝利で復帰を祝った(写真◎J.LEAGUE)
「僕がキャプテンらしいかどうかはわからないけれど」
百戦錬磨の川崎フロンターレのキャプテンであっても、不安に駆られることがあるという。
「久々の試合だったので緊張もしましたし不安もありましたし、でもピッチに立てることはいいなと改めて思いました」
谷口彰悟がついに帰ってきた。8月14日の柏レイソル戦に出場して以降、ピッチにその姿はなかった。左足首を外側にひねるねんざで、痛みが引くのに時間がかかったという。
リハビリを強いられている間に、チームはリーグ戦でアビスパ福岡に公式戦で今季初の黒星を突きつけられ、ルヴァンカップとAFCチャンピオンズリーグで立て続けに敗退を余儀なくされた。
「初めてリーグで負けたり、9月に入っても重要な試合が続いていて、早く力になりたかったけれど間に合わせられなくて。ルヴァンカップや、今年一番獲りたかったACLも出られずに、みんないい戦いをしてくれたけれど敗退してしまって、2つの大会で自分が出ずに力になれずに終わってしまったのは悔しいです」
一人の選手としても、キャプテンとしても、悔やんでも悔やみきれない。
だからこそ、鹿島アントラーズという強敵との決戦に帰ってきたことは本当に大きい。9月22日のアウェーゲームで2-1の大逆転勝利を収めて、復帰を祝った。
ACLに向かう前には登里享平が「ケガ人も一緒になって戦います」と谷口らの思いを胸に韓国に飛び、鹿島戦で同点ゴールを決めた山村和也は「チームとして心強い復帰になった」と喜んだ。
「本当に信頼されているのかな、とは思うんですけど」と照れ隠しで笑いながら、「そうやって思ってくれるのはうれしいですね」と実感を込める。
だからこそ、J1と天皇杯は優勝しなければならない。
「キャプテンとしてやらなければいけないことがたくさんある中で、戦力として戦えなくて悔しかった。そういう思いを仲間に託して、1カ月近くみんなを応援しながらリハビリしてきました」
「戻ったときには存在感あるプレーもう1回発揮しないといけないという思いでやっていますし、僕がキャプテンらしいかどうかはわからないけれど、いい方向にチームが向かうように、一つの目標に向かって全員が進んでいけるような働きかけをしていかなければと思っています」
「それは僕だけでできることではないし、ノボリさん(登里)がそう言ってくれたように、副キャプテンとしてやってくれて、ほかの選手もみんなで協力してくれるから僕もできているんです。みんなで補完し合いながら、高め合いながらやっていきたい」
これがフロンターレの一体感。