上写真=柏は9分に相手ミスを見逃さなかった細谷真大(左)が決めて先制。これが決勝点になった(写真◎J.LEAGUE)
■2021年9月12日 明治安田生命J1リーグ第28節(@味スタ/観衆4,987人)
FC東京 0-1 柏
得点者:(柏)細谷真大
「組織的な守備をよくやってくれた」とネルシーニョ監督
柏レイソルがクリスティアーノのロングキックで抜け出した細谷真大が、飛び出してきたFC東京のGK波多野豪を右にかわして角度のないところからシュート。飛びついた波多野の手の先、スライディングした渡辺剛の足の先を通過してゴールに転がり込んだ。
開始9分のこのシーンは、波多野が向かってくるロングパスに対して渡辺に「OK!」と声を出していて、背走した渡辺が足を止めたその瞬間に細谷が間を割って入るようにしてボールに触って抜け出した。守備陣の連係ミスがそのまま失点につながって、FC東京は思いがけないビハインドを背負うことになった。
柏にとっては幸運も味方したこの先制点によって、落ち着いてプレーを進めることになる。守備時には5バックになる堅実な構えでFC東京のパスコースを分断、時折カウンターを仕掛けて、守備一辺倒ではない姿勢を見せ続けた。
ここからは1点を追うFC東京のチャンスが最後まで繰り返される戦いになった。だが、前半は18分の右からの東慶悟のセンタリングも、19分の左からの小川諒也のセンタリングも、22分のレアンドロのFKも、23分の三田啓貴の右からのマイナスのパスからレアンドロのシュートも、いずれも実らないままだった。
後半はさらに勢いが増した。
58分に左裏に抜け出した永井謙佑の折り返しからディエゴ・オリヴェイラが左足で放ったシュートは、左ポストをたたいた。61分にもレアンドロからのスルーパスで再び抜け出したディエゴ・オリヴェイラが左足で狙ったが、わずか左へ。73分にもカウンターで抜け出した田川亨介がGKキム・スンギュとの1対1を迎えるが、シュートは右へ。1分後に再び田川が今度は左からの永井のクロスに飛び込んでヘッドで狙うが、左へ。87分にも右からの高萩洋次郎のパスで抜け出した永井が狙うが、シュートは弱くGKへ。
これだけチャンスは作ったが、どうしても決められない。
柏は攻められながらも5バックの落ち着いた対応が目立ち、1点のリードに慌てて攻める必要もなく、最後までタイトに守り続けた。ネルシーニョ監督は奪われた瞬間の切り替えを重視した上で「組織的な守備を選手たちがよくやってくれた」とハードワークをたたえた。
6月以来の味の素スタジアムでの試合となったFC東京は、ミスさえなければ、という悔やまれるゲームになった。長谷川健太監督が強調したのは、気持ちの面。
「消化不良の試合をしてしまって大変申し訳ないと思っています」「ミスで失点したあとにみんなで味方のミスを取り返す熱い思いを残り80分ぐらいあったから出してほしかった」「後半の出来は悪くなかっただけに、もうひと押しが足りなかった。チャンスに決めきる、決められなければもう1回と気持ちで押していくことが必要」と繰り返して、チャンスがあったからこその課題としてあえて繰り返し言葉にした。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE