上写真=遠野大弥は584分の出場で5得点で「時間に対して取っているほうですけど…」(写真◎J.LEAGUE)
「僕が決めることができたら恩返しになる」
素晴らしい思い出が詰まったスタジアムに、遠野大弥が乗り込む。8月25日のJ1第26節で川崎フロンターレが戦うのは、アビスパ福岡とのアウェーゲーム。昨季、福岡の得点源としてベスト電器スタジアムでのびのびと駆け回った姿は、記憶に新しい。
「特別な思いがありますし、いまは1試合1試合、本当に自分たちで次に向けてやっていくだけで、チームが勝つことが一番です。僕が決めることができたら恩返しになるので、あの福岡で楽しくサッカーをやっているところを見せたいと思います」
福岡から移籍して初めて経験するJ1でも、ずっと試合に絡み続けている。リーグ戦での全25試合のうち、ベンチ外だったのは2試合だけ。それ以外ではメンバーに入っていて、4試合で出場はなかったものの、19試合、584分にプレーして5得点という結果を残している。
「練習から自分を出している結果だと思っています。でも、チャンスをもらっているので、もっと良さを出していかなければいけないと思います」
跳ねるようにしてピッチを駆ける推進力とパンチのある右足のシュートは、存分に生きているだろう。それこそ、3-1で勝利を収めたホームでの福岡戦では、敵に当たってコースが変わったとはいえ、強烈なミドルシュートがゴールに飛び込んで、古巣から先制点を奪っているのだ。
「出場時間に対して5ゴールというのは、取っているほうだとは思いますが、まだまだ足りないです。チャンスの部分で決めきる選手になりたい」
途中からの出場が多いが、ウイングもインサイドハーフもこなせる器用さを持つだけに、チームの戦略の幅を広げてくれる存在になっている。この夏に田中碧と三笘薫が移籍して、三笘からはあとを託されたというから、ここから出番は増えてくるはずだ。
「薫や碧が抜けたから勝てない、とは言われたくありません。自分がもっとやらないといけないし、チャンスはもらっていますから、監督の期待に応えたいと思います」
昨季はJ2で福岡の昇格争いの主役を演じた。今度はJ1で「真のブレイク」を果たすときがやってくる。それが古巣の思い出深いスタジアムから始まるとしたら、こんなに楽しいことはないだろう。