柏レイソルは14日、J1第24節で川崎フロンターレと対戦し、スコアレスで引き分けた。リーグ屈指の攻撃を誇る相手と引き分けたのは、GKキム・スンギュの活躍とともに守備陣の踏ん張りがあればこそ。とりわけCBエメルソン・サントスが存在感を示してみせた。

上写真=先発フル出場を果たし、堅守を実現したエメルソン・サントス(写真◎J.LEAGUE)

■2021年8月14日 明治安田生命J1リーグ第24節(@三協F柏/観衆3,931人)
柏 0-0 川崎F
得点:なし

L・ダミアンとの激しい攻防

 雨天の中で行なわれた首位・川崎Fとの試合で、後半退場者を出しながら勝ち点を手にすることができたのは、GKキム・スンギュの好セーブ連発があればこそだった。ただし、それだけで勝ち点1を獲得できたかと言えばそうではない。リーグ屈指の攻撃力を誇る相手を無失点で抑えられたのには他にもいくつか理由がある。その一つに、この男の存在が挙げられるだろう。

 3バックの右CBを務めたエメルソン・サントスは高い集中力とポイントを抑えた守りで堅守を支えた。相手の得点源であり、前線の基準点であるレアンドロ・ダミアンとたびたび渡り合い、前向きの守備と状況に応じたカバーでピンチを防いだ。

「川崎の攻撃パターンはある程度は把握していました。真ん中を固めなければいけないと考えながらプレーしていました。今日はGKのキム・スンギュ選手が活躍してくれたおかげもあります。私たちにとって今日の引き分けは良い結果になりました」

 ブロックの中に入り込み、ボールを動かしてCBのつり出しを狙う相手に対して、行くべきか行かないべきの判断が抜群だった。しかも周囲との連係も高まっているため、エメルソン・サントスがボールを奪うために前に出ても、チームメイトがスペースをケアして簡単に穴を空けることはない。

「加入当初は日本のサッカーと監督が求めているプレー、周りとの連係などすべての面で、まだまだ自分自身、ついていけなかった。でも今は簡単な日本語を使いながら周りとの連係を高めています」

 柏は中断期間に守備の整備に力を注いだが、その成果が着実に表れている。結果はスコアレスドローだったものの、いい守備からいい攻撃というネルシーニョ監督の信条はこの日、しっかりピッチで表現されていた。

 そしてその中心に、エメルソン・サントスがいる。

「自分としてはもっともっとこれから進化していけると信じています」

 川崎F戦では前につけるパスという点でも特徴を出し、スムーズな攻撃をたびたび導いていた。武藤雄樹とクリスティアーノというシャドーセンスのあるアタッカー、そして最前線にペドロ・ハウルという収めどころが確立されたことも大きいが、エメルソン・サントスの縦パスがスイッチになるケースは今後、増えてきそうだ。何より、その存在によってチームのベースとなる守備面の安定感が増したことが大きい。

 現在の柏はシーズン前半とは異なる姿を見せている。エメルソン・サントスがチームに馴染んだことが、ポジティブな変貌を遂げた理由の一つだろう。


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