上写真=水戸から加わった平野佑一がオンラインで記者会見。移籍は急展開だったという(写真提供◎浦和レッズ)
中田英寿や長谷部誠のように
浦和の赤いユニフォームに身を包んで会見場に姿を見せたが、新しいクラブの一員になった「実感はまだわかない」と言う。浦和が正式オファーを出すことを決定したのは10日ほど前。本人は急展開の移籍劇に多少の戸惑いを感じつつも、新たなチャレンジに胸を踊らせていた。
「正直、(オファーには)驚きましたが、ビッグクラブで挑戦する機会をどうしても逃したくなかった。チャンスをもらえたことを幸せに思います。ピッチで力になれることを証明したい」
J1初挑戦となる大卒3年目の25歳は落ち着いた口調でゆっくりと話していたが、言葉には自信をにじませた。国士舘大を卒業後、J2の水戸で2シーズン半、プレー。攻撃を組み立てるボランチとして存在感を示すことを意識してきた。
「中田英寿さんや長谷部誠選手(フランクフルト/ドイツ)のようになりたい。誰もが『この人の言うことなら聞く』というくらい、プレーで示せるようにならないと。ボールロストを減らしていけば、信頼感は増していきます。背中で引っ張っていくことも大事」
プロ1年目は試合に絡めずに苦しい時期を過ごしたが、2年目でチャンスをつかみ、秋葉忠宏監督のもとで試合経験を積んできた。ボランチとして、一つひとつのプレーには自信を持っている。
「守備では自分でボールを奪うところ。攻撃では起点となるパス、展開力、縦パスは持ち味。そして魂、戦う姿勢を見せていきたいです」
あふれんばかりの意欲を口にしながらも、平常心を保つことを常に心がけている。プロ1年目に空回りして失敗した経験を糧にしており、メンタルコントロールにも気を使う。
気負いはないが、唯一無二の存在になることを誓っている。背番号は40番。
「誰も付けたことがない番号と聞いて、いろいろな人と話をして決めました。40番を自分の色に染めたいと思います」
成り上がり物語は、まだ始まったばかりだ。
取材◎杉園昌之