7月21日に天皇杯3回戦が行われ、川崎フロンターレとジェフユナイテッド千葉が対戦した。53分に先制したのは千葉だったが、6分後には川崎FがPKで追いついて試合を振り出しに。この後はともにチャンスに決めきれずに延長戦を経てPK戦にもつれ込み、川崎Fが辛くも勝ち抜きを決めた。

上写真=川崎Fの同点弾を決めた家長昭博(写真◎J.LEAGUE)

■2021年7月21日 天皇杯3回戦(@フクアリ/観衆4,553人)
川崎F 1-1(PK4-3)千葉
得点者:(川)家長昭博
    (千)見木友哉

画像: ■2021年7月21日 天皇杯3回戦(@フクアリ/観衆4,553人) 川崎F 1-1(PK4-3)千葉 得点者:(川)家長昭博 (千)見木友哉

「面白い試合になったのではないでしょうか」

 ジェフユナイテッド千葉があと一歩まで追い詰めた。しかし、川崎フロンターレが2回戦に続いてこの3回戦でも天皇杯をPK戦で切り抜けた。熱い120分だった。

 最後まで試合を引き締めたのは、千葉の実直でタフな守備だ。最終ラインに5人並んでピッチの横幅にフタをして、前半から川崎Fの縦パスの進入を厳しく防いでいく。その中央に立つチャン・ミンギュが川崎FのFWレアンドロ・ダミアンを自由にさせない厳しい守備が目立って、リズミカルな攻撃を分断していった。

 それでももちろんチャンスは川崎Fの方に数多く、16分に遠野大弥が左から鋭く左足を振って狙えば、30分には相手ミスを奪ってカウンターを仕掛け、脇坂泰斗がフィニッシュ、37分には中央にもぐり込んでいた橘田健人がポストになってジョアン・シミッチがワンツーからシュート。いずれも枠をとらえなかったが、ゴールへの道筋はできていた。

 千葉は21分に安田理大が右サイドからインスイングのクロス、これが川崎Fの山根視来に当たってゴールに転がり込んだのだが、競り合ったところで千葉にファウルの判定。前半はスコアレスで折り返すことになった。

 だが、後半すぐに動いた。53分、左サイド最深部で船山貴之が受けて落とすと、角度のないところから見木友哉が左足でシュート、ブロックに入ったジェジエウの足に当たってGKチョン・ソンリョンの肩口を抜けて、千葉が先制した。

 ただ、川崎Fもリードを長くは許さない。橘田健人が倒されてPKを手にすると、59分に家長昭博が確実に決めてすぐさま1-1に追いついた。

 ここからはそれぞれが交代選手を投入して、落ちかけたパワーをリフレッシュ。79分に千葉の選手がドロップボールをGKに戻したところを手でキャッチ、その後の対応を巡って混乱が生じ、結局は川崎Fが譲る形になって関節FKを千葉に返すことで再開されたが、これもあってか集中力がやや途切れてオープンな展開に。それでも両者とも仕留めきれずに試合は延長戦に入った。

 その延長戦では交代選手が躍動した千葉に勢いがあり、特に左サイドで瞬発力のある福満隆貴と岩崎悠人を田口泰士がうまく使って活性化、押し込んでいった。川崎Fも同じく交代で入った宮城天が右サイドからの突破や強烈なミドルシュートで狙ったが、実らず。

 PK戦では先行の千葉で3人目の岩崎が外してしまい、5人目の熊谷アンドリューが止められて、万事休す。川崎Fが2回戦に続いて辛くも勝ち抜きを決めた。

 何とか乗り切った川崎Fの鬼木達監督は、安堵の表情とともにとにかく選手をねぎらった。

「皆さんにわかっていただきたいのは、ACLから隔離生活で過ごして、本当に言葉では表せないぐらい、いろんなつらい状況で、バブルの中でもコロナの陽性者が出てしまったり、伝わらないことが多いと思いますけど、今日も120分プラスPKで勝つという、その姿は本当にすごいことだと思います。選手には感謝しています」

 あとわずかで大金星を逃した千葉の尹晶煥監督も同じく、「選手は必死に最後まで頑張ってくれたと思います」と高い集中力で戦い抜いたことを評価。「ディフェンスの時間が長くなると思っていました。差はあるとは感じましたが、選手もできる自信を持ってくれたのではないかと思います」「たくさんのお客さんが来てくれて、面白い試合になったのではないでしょうか」と今後につなげる思いを語った。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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