上写真=前嶋洋太は古巣に帰ってきて活躍中。チームで3番目に多いプレータイムを獲得している(写真◎J.LEAGUE)
「決めるところと守るところが足りない」
横浜FCが育てた元気印・前嶋洋太が、2021年に勇躍のときを迎えている。
J3のカターレ富山で2シーズン、J2の水戸ホーリーホックで1シーズン、武者修行に出て、今季復帰した。ここまでの21試合のうち17試合に出場し、1234分のプレータイムは瀬古樹、袴田裕太郎に続いてチームで3番目に多い。
しかし、チームは最下位に沈む。苦しい戦いは続いている。
「やりたいことをできないときもありましたけど、通用しないと思っていません。ただ、やりたいことができていたのに勝ち点を取れないのがもったいないですし、どうしてかと突き詰めれば、決めるところと守るところが足りないと感じています」
その「決めるところ」に関わる部分では、横浜FCはいま、左サイドの攻撃が活性化している。攻めに転じたときに3-4-3のポジションから左のワイドの高木友也が迫力ある縦突破を見せれば、さらにその後ろから3バックの左に入る袴田や武田英二郎が追撃する強みを押し出している。
だから、その逆サイドのワイドのポジションに入る前嶋は、やや自重気味だ。
「友也が前に行きますし、3-4-3でやるときは袴田選手、武田選手がどんどんオーバーラップします。だから自分はなるべく後ろのリスクマネジメントを含めてバランスを取りながらのシーンが多くなっています。でも個人的には攻撃していきたくて、左があれだけできている分、右が物足りないと思っています。負けないように攻撃参加したいですね」
左偏重のバランスを右にも振り向けることができれば、相手にとっては嫌だろう。
「左でクロスを上げてやりきる場面が多いので全部が思い通りにはなりませんが、ボランチやセンターバックの選手には右に回してほしいと話しています。トレーニングの中では右に来ることも多いので、来たときにクロスを上げきったり、アシストで結果を残さないと信頼は厚くならないので、自分の問題だと思っています」
前線にはターゲットとなるクレーべがいるし、そこをダミーに使ってシャドーの2人やボランチ、逆サイドから入ってくる高木らに合わせることもできる。
「自分が得意なのがえぐってマイナスのセンタリングなんですけど、クレーベのところがチームとして長所なので意識はしています。クレーベを狙ったところからアクシデントが起きて周りの選手が打てることもあるし、とにかくゴール前に運ぶことが大事になると思います」
そのためにももっともっとボールを呼び込んで、右の翼も大きく広げるつもりだ。