上写真=6連戦の半分まで消化して全勝。鬼木達監督は勝利とチーム力の底上げの両方を狙う(写真◎ 2021 Asian Football Confederation)
第3戦ハットの橘田健人は「躍動感のあるいいプレーでした」
中2日の6連戦。食事や練習以外は基本的にホテルの自室にとどまる生活。選手はもちろんだが、それを支えるスタッフも疲れは蓄積していく。鬼木達監督も例外ではない。
「連続で試合が来るので、分析は思ったよりも大変だなという印象ですね。当然ミーティングもどんどん来ますし、選手のコンディションも把握しなければいけないし、ケガ人が出やすかったり、思っていた通りの形ではなかなか進みませんね。でも、ゲーム展開は選手の頑張りでコントロールできているので、そこはありがたいと思っています」
今回は登録選手すべてがウズベキスタンに渡って戦っている。3試合で23人がプレーした。谷口彰悟をアンカーに起用したり、旗手怜央に左右のサイドバックを任せたりと、コンバートも加えながらのやりくりだ。
「コンディションのところを重視しながらやっています。その中でも当然スタートで出続けている選手もいるので、疲労がないようにとか、彼らがパフォーマンスを落とさずにチャレンジできるポジションを選びながら、自分たちのベースもアップできるようにするのが現状で、ケガ人も出たりコンディションの問題もあるので、選手たちにはいろいろなポジションをやる可能性があるよと話しています」
連戦だからこそ、選手のポジションの幅を広げたり、連係の積み上げを図ったりすることができるという発想だ。そこに、チャンスをつかもうとアピールする選手も出てくる。例えば、橘田健人。北京FCとの第2戦、ユナイテッドシティとの第3戦で、連続フル出場に連続ゴール、しかも第3戦ではハットトリックと、目覚ましい。鬼木監督も高く評価する。
「すごく良かったですね。守備へのプレスだったりスライドの速さ、味方のカバー、インターセプトなど、守備の予測とスピードが良かった。本人にもゴールを意識してほしいと言いましたけど、3点を取ったことが素晴らしいのはもちろん、取れるポジションに入っているのが大事で、こぼれ球を狙ったり、3人目でゴール前に入っていく躍動感のあるいいプレーでした」
この大会の直前に田中碧がフォルトゥナ・デュッセルドルフ(ドイツ)への移籍のために離脱、インサイドハーフのポジションが一つ、空席になった。そこに、橘田がぐぐっと台頭してきた。
第3戦では73分投入された初出場の小塚和季も、初アシストをマークしている。
「日本にいるときのリーグ2試合ではなかなかいい結果が出なくて、こっちに来てもメンバーに入れませんでしたけど、前向きにトレーニングしていました。チャンスあれば見たいと思っていたので使ったら、彼らしいパス、彼しか出せないパスを見せてくれました」
最終ラインの裏に抜け出す三笘薫の胸にぴたりと届くストレート系のミドルパスで、82分の7点目を導いた。
「ああいうものをすごく求めていて、もちろん守備をやってほしいけれど、攻撃で違いを見せるのが特徴で、その守備でも一人で何度も追った姿勢を見せてくれたので、良かったと思います」
ほかにもチャンスに躍動する選手のゆるみのないプレーが折り重なって3連勝。疲労と戦いながら、「後半戦」もさらに勝利とチームのスケールアップを図る作業は続いていく。それを乗り越えたとき、またレベルアップした川崎フロンターレが姿を現すことだろう。