AFCチャンピオンズリーグ(ACL)で3連勝と強さを見せつけている川崎フロンターレ。総力戦で臨むこの大会でも、車屋紳太郎の存在感がチームに芯を通している。センターバックと左サイドバックで3試合すべてに出場、守備はもちろん攻撃のアクセントにもなっている。

上写真=車屋紳太郎は3試合すべてに出場。車屋がプレー中はいまだ無失点だ(写真◎ 2021 Asian Football Confederation)

「ミドルシュートを見せれば脅威にもなる」

 初戦の大邸FC(韓国)では、3-2と逆転した10分後の65分から登里享平に代わって左サイドバックに入り、試合を上手に運んだ。2戦目の北京FC(中国)戦では、センターバックとしてフル出場して7-0の大勝を下支え。第3戦のユナイテッドシティ(フィリピン)戦では後半から入って、再び8-0のゲームを引き締めた。車屋紳太郎のユーティリティー性が、ACLでもチームの礎になっている。

 中2日の6連戦で、選手を入れ替えながらの慎重な戦いが続く。

「連戦だとケガ人が出たりターンオーバーで戦わなければいけないので、いろいろなポジションでプレーする必要があると鬼木監督も言っていますし、チーム力が試されるところだと思います。自分もチームの力になれればいい」

 中でも、ピッチコンディションの悪化と大勝による余裕の試合運びによって、守備陣にはさらなる注意が必要になるだろう。ボールがイレギュラーする可能性を考慮しながら、そして、大量得点で緩んでもおかしくない守備への意識を余計に強めなければならない。

「無失点で終えることは後ろにとっては自信になりますし、前の選手が点を取りにいったときの守備の切り替えをすごく言うようにしています」

 それは、残り3試合もしっかり勝ってグループ1位を手にするためであることはもちろん、その先も見据えたチーム力アップの一環だ。

「(大勝した)この2試合だけではなくて、その姿勢はこれからにもつながってくると思っています。しっかり締めながらセンターバックとして厳しく言わないといけないと思っています」

 ピッチ状態にうまく対応するには、相手のパスをケアすることと、もう一つ、自分たちが出すパスにも気を配る。

「ピッチは日本ほどは良くないです。アップ前に水をまいていましたけど、試合では乾いてボールが走らない状況を前半にベンチで見ていて感じたので、弾まないようには注意しながら強く出すところはしっかりやっていきます」

 日本でプレーするときよりも強くインパクトするキックを心がけないと、味方に届く前に失速して相手のボールハントの餌食になりかねない。攻撃への最初のパスも「守備の準備」になるのだ。

 3連勝で得点18、失点2と圧倒的な強さをアジアでも見せつけている。だが、勝ち点3差で大邸が追いかけてくる。残り3試合を失えば、ここまで積み重ねたものが意味を失う。

「大邸との得失点差は大事になってくると思います。他の2チームには大勝しているけれど、次も同じように大勝できる保証はないですし、得失点差のことも考えてがんばっていきたい」

 川崎Fに対しては低く構えるチームばかりなだけに、車屋がドリブルで持ち上がって変化をつけたり、フィニッシュを担う場面も増えている。

「チャンスがあれば常に狙っていますし、ミドルシュートを見せれば脅威にもなると思います。いろいろな選択肢が増えるので、遠目からのシュートも狙っていければ」

 常に完封を狙う守備はもちろん、得意の攻撃参加でもさらにチームの力になるつもりだ。

写真◎ 2021 Asian Football Confederation


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