6月27日に行われた明治安田生命J1リーグ第20節で、アビスパ福岡は浦和レッズとのアウェーゲームに臨んだ。待望の復帰を果たしたFWジョン・マリはフル出場でゴールに迫り続けたものの、ノーゴール。それでも、チーム最多のシュート3本を放って存在感を見せた。

上写真=福岡の最前線に帰ってきたジョン・マリ。力強さとしなやかさで立ち向かっていった(写真◎J.LEAGUE)

■2021年6月27日 明治安田生命J1リーグ第20節(@埼玉/観衆4,724人)
浦和 2-0 福岡
得点:(浦)小泉佳穂、明本考浩

「仲間との距離が遠かった」

 5試合ぶりの出場は、浦和レッズとのアウェーゲームになった。前回対戦の第12節では82分からピッチに入ると、わずか4分後に強烈な右足ボレーシュートでGK西川周作を吹き飛ばすようなゴールを決めてみせた。左からのクロスにトラップして反転してフィニッシュと、柔軟性とパワーを存分に見せつけた来日初ゴールだった。

 だが、1カ月半後の今回は表情も沈みがちだった。いいところがなく0-2で完敗。

「難しい試合になりました。全力で勝利に向かって戦いましたが、浦和がすべての面で上回っていて、小さいところで負けてしまいました」

 開始早々に失点する悪い癖はこの試合でも顔をのぞかせ、11分にゴールを食らった。

 後半は逆襲に転じた。開始から前への意欲がプレーに現れ、長谷部茂利監督も「後半はボールを取れる位置が少し高くなったり回数が増えました」と見ていた。ジョン・マリも「自分に長いボールを蹴って、収めてから攻撃を開始するという戦術ができると思いました」と自身の起用の意味をしっかり理解して整理してピッチに立った。しかし、「浦和のディフェンスの選手は賢くて自分一人ではプレーさせてもらえず、仲間との距離が遠かったと思います」と機能しきれないまま、再び流れは浦和に移っていってしまった。

 ジョン・マリはチーム最多となる3本のシュートを放った。最もゴールに近づいたのは61分、右からのエミル・サロモンソンのクロスにヘッドで合わせたが、シュートは惜しくもGK西川の正面を突く。

 長谷部監督は「(高い位置で奪う)時間帯と回数を伸ばして増やして、攻撃の質をもう一つ二つ上げないと、今日のような相手には点が取れない」と反省した。ジョン・マリも、90分を通して本当に相手を脅かすような決定機はあったかというと、「あったとしても難しいシーンが多かったので、大きなチャンスはゼロに近いと思っている」と認めるしかなかった。

「勝つために今日よりいい試合を、いままでのどの試合よりもいいプレーをしなければいけないと思います」

 シーズンの折り返しの初戦は悔やまれる完敗。だが、そのしなやかでパワフルなプレーは福岡の今後を担うことは間違いないだろう。リーグ戦の次の試合は少し間があいて7月10日。またも上位の横浜F・マリノスとのアウェーゲームだが、2週間近くある貴重な時間を攻撃の再構築に費やしていく。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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